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HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション)

作家
ローラン・ビネ
高橋啓
出版社
東京創元社
発売日
2013-06-29
ISBN
9784488016555
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HHhH (プラハ、1942年) (海外文学セレクション) / 感想・レビュー

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めろんラブ 

私の読後感は唯一のものではなく、どうやら佐藤優氏の一年遅れだったよう。氏いわく、「2013年に私がいちばん衝撃を受けた作品は『HHhH』だ」。超弩級の読み応えを約束する、まさに破格&驚愕の書。重厚な史実×歴史小説を著す意味、更に小説とは何かと哲学的な問いに苦悶する作者自身のモノローグ=大いなるうねりを伴った”物語の終焉”。読了時の虚脱感は、歴史の高波になすすべもなく奪われた温もりのおびただしさと、それらを小説という手段で伝える行為の底知れぬ恐ろしさに圧倒されたから。タイトル、装丁にも感嘆。

2014/10/13

ケイ

決して読みやすくない。英仏独に加え、チェコやスロバキアの土地や人物の名前が次々に出てくるし、作者の回想、本を書くにあたっての準備、他の作家についての批評を交え、自分の調べた資料、登場人物や出来事についての感想を織り込みながら作者は語っていく。重要そうな登場人物に付箋をつけながら苦労して読み進める。しかし、ページをめくる手は止まらない。作者の手法に引き込まれ、彼の世界に自らも入り込み、彼の横に立って事件を眺め、胸をかきむしりながら暗殺事件の結末にたどり着いた。最後の数ページでは口を覆った。紛れもない傑作。

2014/08/28

マエダ

「金髪の野獣」と渾名されユダヤ人大量虐殺の責任者であるハイドリヒ そのハイドリヒを狙い二人のパラシュート部隊、クビシュとガブチークが類人猿作戦(暗殺計画)を実行していく物語であるが、主要人物はこの三人だけではない、著者のビネ自身も膨大な資料とイマジネーションを武器に1942年のプラハの世界に入っていく、決して史実を捻じ曲げたりすることなく、細部へのこだわりは常軌を逸していて「小説とは何か」を考えさせられる。 装幀もかなり挑戦的であり作品への自信が感じられ、間違いなく今年読んだ本の中で一番面白かった。

2015/10/12

紅はこべ

フランス人の語り手は自国のナチ協力者、チェコスロヴァキアを救えなかった当時の仏英政府に厳しい。それは自虐史観などではなく、正当な評価だと思う。日本人もこれくらい自国史に対し、冷静でいられるといい。

ケンイチミズバ

誰もが最後の晩餐でユダを裏切り者と認識する。ベニスの商人でユダヤ人は強欲者とカリカチュアライズされ嫌われ者なんだと思う。ハイドリヒは学業成績が優秀でユダヤ系の名前であるために苛められた。父親はドイツが英仏から嫉まれるのは優れているからだよと教える。不況の折、軍に志願するのが得策と判断するのも自然の流れで時の運ややり手の妻の存在もあり、組織で頭角を現す。家系を遡ればユダヤの血が混じっている恐れ、幼少期から刷り込まれた反ユダヤ感情とが誰も自分を陥れることのできないトップに立つ野心を煽り最悪の戦争犯罪人となる。

2019/01/22

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