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ぼくらはアン

ぼくらはアン

ぼくらはアン

作家
伊兼源太郎
出版社
東京創元社
発売日
2021-10-29
ISBN
9784488028534
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ぼくらはアン / 感想・レビュー

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いつでも母さん

無戸籍の兄妹、ヤクザの親分の息子、不法滞在者の姉弟。学校に通えない5人の子供たちを繋いだのは近所に住む優しくて強いじいちゃん。その人の謎に包まれた過去にビックリの隠退蔵物資に毒ガス。これは社会派冒険ミステリーとでも言おうか。人も死ぬし、社会の暗部を抉り暗くて重いのか?と思いつつ読み始めると、どっこい明るく楽しくさえもある。不穏な空気を孕んでいるし、遣る瀬無さも無力感も抱えるけれど、彼らの友情に絆に頑張れって拳に力が入るのだ。『あるけど、ない。ないけど、ある』読後はこのタイトルが沁みて・・

2021/11/16

しんたろー

これまでの作風とはガラッと変わって、第1部はまるで青春小説のようでビックリ…無戸籍の双子・諒祐と美子、ヤクザ組長を父に持つ・誠、不法滞在の少女・マヨンチット、社会から拒絶されて学校にも行けない4人の少年少女が生きる姿が活き活きと描かれて、その中にも様々な社会問題について触れている。双子の母、謎のじいちゃん、二人も素敵!やや冗漫にも感じた第1部に続き、ミステリアスな第2部以降は先が見えない展開で読む手が止まらない。やや詰め込み過ぎな印象もなくはないが、エンタメとして高いレベルで満足! 伊兼さんの筆力に敬服。

2021/12/17

パトラッシュ

日本の社会システムからはじき出された少年少女が懸命に生きる前半は成長物語的に進むが、面倒を見てくれていた謎の老人が不審死してからは不穏な空気が漂い始める。居場所を見つけようと苦闘する最中に失踪した仲間を捜索を通じ、抱えていた重い過去の扉が開いていく過程が読ませる。ただ監察官シリーズでも見受けられたが、自分はエリートだからゴミのような一般人は従うべきと信じたり、金のためなら我が子すら殺そうとする悪役の設定は不快になる。しかもその考えを自慢げに語るのだから魅力ゼロだ。レクター博士的な偉大な悪が出てほしかった。

2021/11/22

モルク

無戸籍の双子の兄妹諒佑と美子、親がヤクザの親分のため孤立し不登校の誠、不法滞在のタイ人姉弟。学校に行けない4人は山の中で元兵士であったじいちゃんの元で勉学だけではなく、生活の知恵、薬…あらゆる事を学び、楽しい日々を過ごしていたが、殺人事件が…。諒佑と美子を病院、学校に行けず、保障も証明も受けることができない無戸籍児にしなければならなかった母上の思い。それでもDV夫の追跡から逃れ、双子の存在を知られないための策であっただろう。社会問題と後半はサスペンスに満ちた展開。彼らの武士言葉での会話もおもしろい。

2022/04/07

タイ子

想像以上に深い物語。最初は青春小説のような感じで展開するのでそこまで入り込んだストーリーになるとは。国家、社会の理不尽さ、戦争が残した者、物。母の事情で無戸籍のまま育った兄妹。山で暮らす謎の老人と暮らす事に。兄・諒祐、妹・美子が出会う誠はヤクザの息子、タイ人の姉弟と共に不登校のまま少年時代を謳歌していく。そんな時、老人が何者かに殺され、彼らの人生は何かに操られるように変わっていく。無戸籍の修復の難しさに負けず知恵と努力で生き抜く人間の前に社会は何をすべきか。時にハラハラ、時に涙、逞しき人間の生き様を見た。

2021/12/17

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