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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)

作家
伊坂幸太郎
出版社
東京創元社
発売日
2006-12-21
ISBN
9784488464011
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「アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)」のおすすめレビュー

標的は広辞苑? 「本屋襲撃」に隠された悲しい過去の物語――伊坂幸太郎の代表作『アヒルと鴨のコインロッカー』

『アヒルと鴨のコインロッカー』(伊坂幸太郎/東京創元社)

「地上からわずか何センチか浮いているような物語を書ければいいんです」。伊坂幸太郎氏は『このミステリーがすごい! 2004年版』所蔵のインタビューでそう語ったが、それはまさに彼の作風を表した言葉といえるだろう。特に、彼の代表作ともいえる『アヒルと鴨のコインロッカー』(東京創元社)は、まさに「地上からわずか何センチか浮いているような物語」。濱田岳、瑛太主演で映画化されたことでも知られるこの作品は、日常のありえそうであり得ない絶妙な不思議さを、苦々しい現実感はそのままにコミカルに描き出した青春ミステリーだ。

 主人公は、大学入学直前の椎名。引っ越してきたアパートで出会ったのは、長身の青年・河崎だった。初対面だというのに、河崎は椎名に対しいきなり、本屋を襲撃する計画を持ちかけてくる。おまけに彼の標的は、たった1冊の広辞苑。同じアパートに住むブータン人にどうしてもその本屋から奪った広辞苑をプレゼントしたいのだという。意味不明な強盗計画に加担するつもりなどなかったのに、河崎の勢いに押されて、事件当夜、モ…

2017/11/12

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フワちゃん「ブラピが伊坂に寄せてきてる!」伊坂幸太郎氏の『マリアビートル』が、ブラッド・ピット主演でハリウッド映画化!

 伊坂幸太郎の代表作の一つ『マリアビートル』が、ハリウッドで映画化(ブラッド・ピット主演)された。タイトルこそ『ブレット・トレイン』に変更されているが、ストーリーは意外なほど原作に忠実だ。以前から『マリアビートル』を熱烈応援してきたフワちゃんは、この日、伊坂と初対面でテンションもマックス! 『マリアビートル』&『ブレット・トレイン』の魅力を熱く語り合った。

取材・文:吉田大助 撮影:干川 修

映画『ブレット・トレイン』ポスター

『ブレット・トレイン』は、想像していたよりも『マリアビートル』だった

フワ はじめまして、フワと申します。よろしくお願いします! お会いできて嬉しすぎます。伊坂さんのことが大好きです!

伊坂 (笑)。いろんなところで応援してくださって、ありがとうございます。お会いできて嬉しいです。今日、フワちゃんさんに会うことを言ったら、息子に、「フワちゃん、父さんみたいな普通のおじさんとしゃべるの困んないかな?」と言われちゃって、何だか申し訳なくて。

フワ あははは!(笑) お父さんは、あたしが唯一進んで「さん」付けする、すごい人だよ!(笑)

伊…

2022/7/26

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「最高のエンターティナーにして、出版界のフランシスコ・ザビエル!」――フワちゃんが心酔する伊坂幸太郎はいろいろすごすぎる

インタビュー:フワちゃん

初めて読んだ大学1年生のときからずっと、“伊坂ハイ”が続いているというフワちゃん。スト-リーの面白さはもちろん、エンターテインメントとして、毎回違った趣向で読者を楽しませようとする、その姿勢から多大な影響を受けているという。人気YouTuberのフワちゃんが伊坂作品から受け取ったものとは?

伊坂作品は、価値観のジュエリーボックス とんでもない角度からの考え方を幾度となく見せつけられて、 影響されないわけないよね

東京都生まれ。大学在学中にお笑い養成所に入学、お笑いの道へ。コンビ解散後、ピン芸人として活動中の2018年4月にYouTube個人チャンネル「フワちゃんTV/FUWACHAN TV」を開設。現在、登録者数は59万人超え。バラエティ番組への出演多数。@fuwa876   

「すごいの、みつけちゃった!」って思った、初めて伊坂さんの作品を読んだのは大学1年生の春休み。巷のみんながあまりにも『アヒルと鴨のコインロッカー』がおもしろい!って言うので、ヴィレヴァンに行って探したの。

 あのヴィレヴァンの黄色のポップで…

2020/7/8

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アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

本屋襲撃からは「パン屋再襲撃」を思い起こすだろうし、小説中に散りばめられたボブ・ディランの「風に吹かれて」からは、やはり『風の歌を聴け』を連想するだろう。文体もまたそうだ。つまり本書は村上春樹へのオマージュとして書かれているのである。2年前と現在との2つの時間軸を設定する試みは、大学に入学したばかりの僕(椎名)にとっては、未来ではなく過去を想起させるものとなり、奇妙なノスタルジーがそこに醸成されることになる。そして、そうしたある種の時間倒錯的なニヒリズムもまた村上春樹に通底するもののように思われる。

2017/01/31

サム・ミイラ

非常に評価が高くかつタイトルの意味が分からない作品。読み進むとなるほどアヒルと鴨とはそういう事か。コインロッカーの意味は最後に分かる。現在と二年前の出来事が交互にそのほとんどが会話で進行する物語。確かに上手い。個性的な登場人物。コミカルな掛け合い。さりげなく巧妙に配置された伏線。そしてトリックに気づかせずどんでん返し(笑)確かに面白かった。しかし私には合わなかった。技巧に過ぎるというか作りすぎな感じが強すぎて正直あまり心に響かなかったのだなきっと。ドルジ任せの終わり方は好きだけど(笑)

2015/06/06

遥かなる想い

2004年このミス国内第二位。 ひとり暮らしをはじめた大学生が、隣人から“広辞苑を1冊強奪する“という計画をもちかけられたことで始まるこの事件は、2年前の事件と現在の本屋襲撃が次第につながっていく。 今から二年前、河崎と琴美とブータン人のドルジは、ペット虐待事件に巻き込まれてしまい……。二つのストーリーが意外な形で収斂する構成が見事な傑作ミステリ。第25回吉川英治文学新人賞受賞作らしいが最後の結末には正直びっくり。とんでもない構成力である。

HIRO1970

⭐️⭐️⭐️序盤はまさかの春樹さんのパクリかと思いましたが、パン屋よりも本屋襲撃の方が食べ物屋じゃないので、やや高尚かなとくだらない事を思いつつ読み進んでいましたが、2年前と現在の話が同時進行で少し又少しとかみ合い始め、シンクロし始めると物語の全体像が朧げに見え始めます。後半に向けて段々と眼が離せなくなる展開で尻上がりにシンクロ率が上がり二つのストーリーがリンクしながら、興味本位だったり私怨だったり自殺だったり私刑だったりの様々な罪や罪の清算の仕方を描きだし、読者の罪の分水嶺が如何に曖昧かを試してきます。

2015/05/14

ehirano1

まいったねこりゃ、完全に好きになってしまいました、再読なのに。なんだこりゃの序盤には違和感(=伏線)と陽気なギャ・・・との係わりがあったりでいつもの伊坂さんなんですが、後半から加速化と思いきやそのままのペースですが事は淡々と明らかになって来て、終盤は涙ぐむシーンもあったくらいでした。私のようなオジサンをも涙ぐませるとは、いやはやまいった、勿論良い意味で。

2023/03/04

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