望月のあと (覚書源氏物語『若菜』) (創元推理文庫)
ジャンル
望月のあと (覚書源氏物語『若菜』) (創元推理文庫) / 感想・レビュー
kagetrasama-aoi(葵・橘)
“紫式部のサーガ”三部作のその三。「玉葛十帖」を道長と絡ることで、とっても魅力的な展開になっています。一人勝ちに見える道長、私は、あの「この世をば」のお和歌を聞く度に、“鼻持ちならない人物選手権”があったら、上位入賞間違いなし、と密かに思ってます(笑)。このお話読んでちょっと溜飲さがりました😀後書に寄ると、作者さま「宇治十帖」のお話に手をそめているとのこと。気長にお待ちしています。
2019/12/10
きょん
「玉鬘」と「若菜」の成立時期の設定。玉鬘の瑠璃姫と作中現実が重なっていくのが面白い。権力と財力を握る男たちを手のひらで転がす女たちのしたたかさが素敵。
2018/06/26
fullhouse
好きなシリーズ第3弾。 文庫化を待ってたー。 前2作に比べて、読みやすくなった印象。 つきあいが長くなって、古典を題材にした作品とはいえ、キャラクターたちが、なじんできたのかなー。
2018/06/24
マッピー
「女はのんきでいいよなー」なんて世の中の苦労をひとりで背負って立っている気でいる道長だけど、実は裏で女たちが連携していいように道長を翻弄している。なんだかちょっと可愛らしくも思えてくるほど、きれいに振り回される道長。第二章からは徐々にきな臭くなっていく。定子を愛し、彰子をも大切にした一条天皇の急死から状況は一変。この帝位をめぐる攻防から派生する、京の都で頻発する付け火や強盗。今回初めて、きらびやかな貴族の社会だけではなく、底辺の、食べていくだけで精いっぱいの人たちの暮らしにも目を向けることになる。
2023/09/26
冬見
この物語は"かずならぬ身"たちの物語だ。望月の影のもと、あるいは陰のもと、生きた人々の。満ちゆく月の行方を見つめる怜悧で透徹した視線は、落とした陰の行方と光の届かぬ遠くで生きる者たちへも向けられてゆく。世界はここだけではない。当然の事実に気づかぬまま、月が欠けることを忘れた男はどこへ向かうのか。
2021/02/21
感想・レビューをもっと見る