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天上天下 赤江瀑アラベスク1 (創元推理文庫)

天上天下 赤江瀑アラベスク1 (創元推理文庫)

天上天下 赤江瀑アラベスク1 (創元推理文庫)

作家
赤江瀑
東雅夫
出版社
東京創元社
発売日
2020-12-21
ISBN
9784488505042
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天上天下 赤江瀑アラベスク1 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

3篇とも再読。「海峡」で一番、心に残ったのは私も電車やバスで川の上を渡っている時、ふと身を躍らせて水へ投じて泳ぐ姿を幻視してしまう事があるから。そして水が身体に纏わりつく表現がとても官能的である。海を漂ってきた者への考察は「海贄考」とも響き合う。また、伝説によって存在が濃くも実態が掴めない小野小町像の妖怪性に籠められた女の人生にも惹かれてしまう。「星踊る綺羅のなく川」は赤江版『天守物語』。鶴屋南北への狼藉を知ってご機嫌斜めになる二の太夫よりも優しげでいて女性達の内紛を焚き付ける三の太夫の方が意地が悪いわ~

2021/05/02

佐島楓

ある作家さんが強くおすすめされていたので読んでみる。演劇の手法を取り入れていてかなり特殊な書き方をなさっていると思ったら、もともとそちらの畑のかた、しかも歌舞伎に大きな影響を受けているようだ。それでいてミステリの手法も併せ持っているのだから、面白くならないはずはない。続刊も読んでみます。

2022/01/22

あ げ こ

〈流れ流れてなお尽きずこの足もとへ寄せる水の、その悠久たるものの現存することが、なにをおいてもまず、やはりふしぎに酩酊的である。手を浸せば指を濡らし、たなごころに掬いあげられ、口に運べば含めもする水。〉「海峡──この水の無明の眞秀ろば」を読むことは即ち、この水を相手取ることだ。単に書き手と水との接触の、その戯れと思索の結実としての言葉を読むのではなく、そのように表層的な体験などではなく、もっと肉体的な、もっと凄まじい、自らもまたかの水と直面しつつ、水に触れ続ける書き手の快楽を、欲望を、慄きを生きることだ。

2023/05/23

ふくしんづけ

『海峡ーこの水の無明の眞秀ろば』一番脂の乗っている時期に描かれた文で、この後続く三作を読み切るだけの吸引力を持つ。だけでなく、書かれた言葉がそれぞれの長編と線を結び、形を成す纏りの良さ。『星踊る綺羅の鳴く川』亡者たちの舞台。現実の役者たちと亡者の交錯、衝突。ここが肝だったろうと思うが、そこにあまり興味はなく、二章を面白く読んだ。ここだけで読んで良かったと思える内容で、このノリで全編続いて欲しかった思いがあるも、小説の構成として据わりが悪くなるのもわかる。がもうちょっと見たかった。栴檀の若のとこお気に入り。

2021/05/13

ハルト

読了:◎ 妖美で幻惑的でなまめかしい夜の闇。そんな闇に魅入られのめりこむ。小説のみならずエッセイからも漂う闇の濃さ。魔性の存在がざわりざわりと蠢く。こんなにも甘美な文章、物語に酔いしれられるのは幸運である。これからあと二巻も赤江瀑作品に触れられるのはうれしい限り。これを機に、他の作品も復刊しないだろうか。

2021/02/27

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