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魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2 (創元推理文庫)

魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2 (創元推理文庫)

魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2 (創元推理文庫)

作家
赤江瀑
東雅夫
出版社
東京創元社
発売日
2021-04-28
ISBN
9784488505059
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魔軍跳梁 赤江瀑アラベスク2 (創元推理文庫) / 感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

「花曝れ首」収録のこの巻が出るのをどれ程、待ち侘びたか・・・!「好いた男とみる修羅や。おちる地獄や。おちとみやす」。この言葉をまた、目することができた時、身体の奥から震えた。六条御息所と同じく、激しい情念に身を焦がし、執心する姿。それは時として浅ましさを凌駕する。その抱きしめたくなるようないじましさや錐揉みされた情念が噴き出す一瞬の壮絶な美しさ、それを甘受する姿に私達は揺さぶられ、ひれ伏すしかないのだ。「地獄におちる」という事をここまで蠱惑的に描いた作品は、ない。赤江瀑の美酒に酔いしれずにはいられない。

2021/05/05

あ げ こ

土地の幻想、場所の、空間の、古都の幻想、春の、夏の、四季の幻想、花の幻想、或いは光、陽光の、月の幻想。しぶき、溢れ出で、飛び散る、熟れて匂い立つ、それらの幻想。狂わせるもの。棲んでいて、長く永く、古くより、潜んでいて、染み付いていて、一部と化していて、気付いた者をのみ、とらえるもの。呼応する者をのみ、逃さぬもの。魔性。魅了されるということは、酩酊を受け入れるということは、共におちていくということだ。共にそこへと至ること。それは必ずしも陰惨に、という訳ではない。悲痛な、叫びや摩擦を必ずしも伴う行為ではない。

2023/07/13

ふくしんづけ

〈「さあ、見ろ。見て、観賞をしろ。ここに、何があるか。どれほどの、見るべきもの、観賞に値するものが、存在するか。展開されているが。それを、考えろ」〉00年代の一編、『玉の緒よ』からの引用であり、この時期の著作は数冊分読んでいて、枯れの印象が強かったのであるが、この一文には初期から一貫しているものが感じられた次第。熱さ、ともすれば、クサさ。血が通っている感じである。全体的に、落ち着いた時期の作品が多く、70〜80年代の作品も、『月曜日の朝やってくる』『悪魔好き』など赤江作品としては変わり種らしいもの。

2021/12/31

ハルト

読了:◎ 作家の個性というものがある。短編ひとつ、エッセイ一編読むだけで、強烈にその魔に浚われそうになる。禍々しくも妖婉でなまめかしい。月明かりの下、魑魅魍魎に目を奪われる。そんな心の闇を耽美に婉然と書く。そして凄絶な闇に囚われそうになる。エッセイは夢の話が印象的だった。赤江作品には、どこか夢の茫漠たる寂しさがあるように思える。小説は、どれもがよかった。老人介護を扱った「坂」が、夢を見て恍惚となるのは、老齢者のがよりその成分が強いのではないかと思った。

2021/06/08

YH

赤江さんの世界には京ことばがよく似合う。どの作品も少し仄暗く、妖しい雰囲気で好き。情念を現すのに、京ことばって見事にマッチする。

2023/05/06

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