失われたものたちの本 (創元推理文庫)
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失われたものたちの本 (創元推理文庫) / 感想・レビュー
sin
いきなり異世界に放り込まれることに慣れた身(笑)には、導入の丁寧な運びがくどくどしくて捗らない。母を亡くした少年がエヴァのシンジ君みたいに自己中で鼻につくが男の子とはこういうもの、だがしかし物語が進み出すとエロチックで残酷なホラーともまがう展開が好ましい。暗黒の塔ならぬ茨の城を目指す騎士ローランドに付き添われ少年が目覚ましく成長する様は前半ゆえの伸びしろで、経験は勇気を育てやがて人生の選択を知る。蛇足にも感じる物語のその後を経て訪れる本当の物語の結末は…
2021/06/06
cinos
ダークファンタジーでところどころで語られる物語が実際のおとぎ話などと違っているのが不思議。解説を読んで納得しました。少年の成長物語ですが、ラストは感動しました。
2021/11/16
くさてる
「君たちはどう生きるか」の元ネタ、ということで手に取りました。確かに、と思う部分はあれど、原作にはなり得ない違いも多く、映画とは関係なく面白く読みました。童話とファンタジー、グロテスクではあるけれど魅惑的なイマジネーションに溢れています。物語に耽溺した子供時代を過ごした人なら、ああ、と思うことも多いはず。そして、単なる良い話では終わらないあたりが、さらに良かった……と思っていたら、あのラスト。おすすめです。
2023/08/03
Shun
母を亡くしたデイヴィッドの元に父は新しい母親と義弟を迎え、まだ無垢な少年デイヴィッドは孤独を感じると次第に周りの本の囁きが聞こえてきます。ある時異界の向こう側の母の声に導かれ、辿り着いたそこは幼い頃読み親しんだ絵本や童話が現実となった世界でした。元の世界に戻るため、王国にある「失われたものたちの本」を探す旅が始まる。旅の途中では人狼やトロルを振り切り、醜い白雪姫との出会いや騎士物語のような体験等、様々な経験を経て世界の真実を目にする。物語が内包する不思議な力が少年を男へと成長させるような素敵な物語でした。
2021/03/18
ショア
ジブリ新作映画「君たちは-」の原作との噂を聞き手に取る。 思春期の読書好きな少年が有名童話の世界に迷い込み精神的に成長する異世界系だが結構描写がダークホラーな冒険ファンタジー。なんとなく宮崎駿氏が好きそうなモチーフを感じる。 戦闘殺戮の描写がリアルで児童文学としてはR指定したくなる。ねじくれ男が人間の欲や罪深い真理を原液のまま吐露する様はなかなかに醜悪。中弛みするが最後は奇譚感があり一気読み。400p超で読み応えもあった。巻末のシンデレラAバージョンがフフフ
2023/07/16
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