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ラブスター博士の最後の発見 (創元SF文庫)

ラブスター博士の最後の発見 (創元SF文庫)

ラブスター博士の最後の発見 (創元SF文庫)

作家
アンドリ・S・マグナソン
片山若子
佐田 千織
出版社
東京創元社
発売日
2014-11-21
ISBN
9784488751012
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ラブスター博士の最後の発見 (創元SF文庫) / 感想・レビュー

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催涙雨

構成から感じる哀愁のようなものとシュールな味わいがヴォネガットを思い出させるところだが、テーマに諦念が含まれていない点でイメージは異なる。世界を操作、管理する様々なシステムが登場するが、なかでも男女の相性を計算してペアリングする機関とそれに抵抗するカップルの構図がこの作品のディストピア的要素の中心にあたる。べつに派手な抗争みたいなものがあるわけではないのだが、技術の発展とともに知らず知らずのうちに人々が窮屈になり、ソフトな管理のなかで打ちのめされていくような脱力感を描く作品はやはり好きだと改めて思う。登場

2019/08/17

sin

その寓話的な書き出しに反してこれは科学者が権力の為でなくアイデアに取り付かれて造り上げたディストピアのお話、主人公の青年はその恋人に与えられた「インラブ」の計算で導かれたパートナーの出現とその御託宣を後押しするコマーシャリズムに洗脳された無意識な全体主義社会によってパートナーと引き裂かれる。この虫酸が走る設定は後半の種明かしで台無しにされてしまうが、作者が築き上げた世界の圧倒的な嫌悪感は揺るぎなく、この作品をコミカルだと紹介する訳者は怖いと思うのだがブラックなコメディと言って間違いない。

2015/02/17

けいちゃっぷ

P・K・ディック賞特別賞受賞作ということで読んでみることに。 人間をしゃべる広告塔に使うところはディックみたいで面白いが、はた迷惑だよね。 コードレス、ラブデス、インラブ等のガジェットもいいのだが、余りにもある「理想的」すぎるカップルを前面に押し出しすぎて、読んでてかったるい。 まあ、主人公格だし重要な役を負っているのだが。 ユートピアに思えてディストピアな世界で、孤独なラブスター博士が最後に発見したものとは? 373ページ

2016/09/22

新天地

訳者あとがきにもあったけどシニカルでシュール、さらに加えてディストピアものとしての悪趣味で胸糞悪さもある作品として読めた。恐怖政治による思想や言論の統一と排除ではなく、大企業のウザったい販売戦略と押しつけがましい宣伝による趣味嗜好への矯正あるいは強要によるディストピアだった。ラブスター博士のアイデアを形にしようとすればするほど、発明すればするほど孤独になっていく様は読みごたえがあった。でも自分にはシュールで悪趣味過ぎた上に、恋人たちのパートがタルかったのでなんだかイマイチ。

2015/11/14

有無(ari-nashi)

毒がたっぷりなSF風ファンタジー。死の市場を独占し、愛を完璧に計算しきったうえ、神まで見つけ出してしまった天才アイデアマン。自分達の愛を計算により否定されてしまったカップル。ディストピア小説で、人々を管理し誘導しているのが、政府等ではなく巨大広告代理店なのが面白い。

2015/03/17

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