医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者
「医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者」のおすすめレビュー
「10年間続けた治療を途中でやめられますか?」治療方針を聞いて冷静な判断を下すために…
『医療現場の行動経済学』(大竹文雄・平井 啓:編著/東洋経済新報社)
もし、あなたやあなたの家族が重篤な病気にかかったとしたら、あなたは適切な治療を選択できる自信はあるだろうか。医療の現場での治療方針の決定は、かつては医師が選択していたが、現在はインフォームド・コンセントが一般的だ。
インフォームド・コンセントは、医者が患者に医療情報を提供して、患者が治療の内容やリスクについて十分理解したうえで、医者と患者が治療の方針について合意して意思決定をしていくというものである。
しかし、意思決定が非常に複雑で高度なものになった場合においても、患者に合理的な意思決定ができるであろうか。
行動経済学では、人間の意思決定には、バイアスが存在すると想定している。つまり、人は感情や思考のクセなどによって、理にかなった判断ができない傾向があると指摘されている。
『医療現場の行動経済学』(大竹文雄・平井 啓:編著/東洋経済新報社)は、医療現場におけるバイアスを明らかにし、できるだけ合理的な意思決定ができるようにと書かれた本である。
医療現場におけるバイアスとはどんなも…
2018/10/22
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医療現場の行動経済学: すれ違う医者と患者 / 感想・レビュー
こばまり
本嫌いを自認する知り合いの医師が絶賛していたので手に取る。情報の非対称性を有する医療において永遠のテーマであると思う。複数の著者による共著である為、同じ理論や概念の説明が繰り返される箇所もあったが、門外漢の私にはちょうどよい畳み掛け具合だった。
2019/11/14
アキ
フレーミング効果やバイアスにより治療の意思決定に影響を及ぼす行動経済学を医療現場で具体的に紐解く。特に他人を思いやることが資質のひとつといわれる看護師がむしろその傾向があるほどバーンアウトしやすいという指摘や時間がない急性期の意思決定において医療者側はパターナリズムになりやすくリバタリアン・パターナリズムになっていないということは意識するだけで変わってきそう。とても実践的な行動経済学。医療には面接技術だけでなく心理学、倫理学、行動経済学・言語学も今後導入されるべき。これらの知見は医療者側にとても重要である
2018/12/28
shikashika555
4章の意思決定支援についてが一番興味深く読めた。 医師患者間の言葉のやり取りを横で聴きながら、夥しい情報の不均衡をお互いが認識していないまま話が進んでいってしまうのを、ハラハラしながら見守る時が結構頻繁にあった。 お互いの「わからんちん」を心の中で責めながらますます意思の疎通が取れなくなっていく。 うまく介入できないことのもどかしさを感じていた。 行動経済学的な理解より先に、医療者の業務量の多さから改善した方が ICについての改善は図れるようにも思うけれど。 13章については「そーだよねー」の一言😣
2020/08/25
たまご
行動経済学からみた,医療現場の患者・患者家族と医療従事者のすれ違いの理由が考察されています.医療現場だけではなくて,日常生活,一般社会でも同じことですね.百万年単位の進化の過程で獲得されてきた,より早く上手に行動するためのバイアスが,現代の社会ではむしろ邪魔になってしまう.だからこそのストレス社会なのかー.命のかかる現場で限定された状況で瞬時により良い判断を求められる,そりゃあ,めちゃめちゃストレスフルだし,後悔も満載になりますよね….その時を予想して,事前に考えることが大事…でも先延ばしバイアスがーっ
2019/01/26
かおり
「行動経済学」初めて🔰でも、初めての言葉も沢山あったけど、とても分かりやすかったです。検診の受診率のあたりなんか、「本当に人間っておもしろいなぁ」と。医療現場ではないけど、使えそう❗もっと「行動経済学」知りたくなりました。
2019/08/02
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