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「その日」の前に

「その日」の前に

「その日」の前に

作家
アンドルー・ジョージ
鈴木晶
出版社
ONDORI
発売日
2019-12-25
ISBN
9784502334313
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「愛は、人生最大の喜びだ。そう思わずにはいられない」『「その日」の前に』③Chuck

『「その日」の前に』は、終末ケアを受ける20人の肖像と直筆の手紙で綴るラスト・インタビュー。特に目立つ人たちではない、多くは数日後にはこの世から去ることになる彼らがカメラにどのような表情を向け、何を話し、書いたか。「死」とはそして「生きること」とは何か。

Chuck チャック

愛というのは、心の奥底にあって、本当に感じられるものだ 愛は、人生最大の喜びだ。そう思わずにはいられない

 私はがっかりした。  38年間、ロッキード・マーティン社で研究と開発に携わっていたんだが、会社はそれを大量生産化しようとした。  研究と開発を大量生産化するなんて、できるはずがないじゃないか。

 私の信仰はたぶん祖母譲りだ。祖母は敬虔なキリスト教徒だった。  みんなから愛され、みんなを愛し、人生を愛していた。  祖母はよくこう言っていた。 「神の名のもとにふたり以上が集まったら、それはもう教会。どこかの山の上にひとりでぽつんと座っていることもできるけれど、でも、ひとりでいたって、そこにはふたりいるの。あなたとキリスト」。  その言葉が私の人生を決定づけた。私は本当に神を信…

2020/2/15

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「公平だろうと、不公平だろうと、人生は人生」『「その日」の前に』②Sarah

『「その日」の前に』は、終末ケアを受ける20人の肖像と直筆の手紙で綴るラスト・インタビュー。特に目立つ人たちではない、多くは数日後にはこの世から去ることになる彼らがカメラにどのような表情を向け、何を話し、書いたか。「死」とはそして「生きること」とは何か。

Sarah サラ

公平だろうと、不公平だろうと、人生は人生。 起きることもあれば、起きないこともある

 最初に病名を聞いたとき、闘おうと思った。負けるものか。  あとどれくらい生きられるかは知らない。  そういうことを考えながら生きるタイプじゃないから。私は頑固よ。最後まで闘うつもり。何があろうと、かならず別の道があるはず。まだすべての道を試したわけじゃないでしょ? 新しい道が見つかるかもしれない。実験台にされることは全然いやじゃない。  でも、諦められるのはいや。

 私は家族の中でいつでも世話役だった。高校生のころは祖母の世話をした。  ママが最初にガンになったときも、二度目になったときも、三度目になったときも、学校に通いながら、三年間看護した。  いちばん辛かったのは、自分の娘がガンになったこと…

2020/2/14

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「その日」の前に / 感想・レビュー

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くさてる

終末期のケアを受けている人々へのインタビューと、かれらからの手紙と肖像写真で構成された一冊。人生の終わりを前にしたときに、ひとがなにを思うかということは簡単に答えが出るものではないと思うけれど、すべてのひとにそれぞれの人生があって言葉がある。そんなシンプルなことがとても大事なのではと思いました。暗いだけでもお涙頂戴の本でもなく、かといって人間賛歌とか宗教的な内容でもない。ただ、ここにいるひとびとの生の声です。生きているひとの声です。

2020/03/14

チェアー

「その日」は来る。だれにも来る。ただ、その日をどのように迎えるかは人によって違う。人を罵り、憎み、人生を呪いながら死んでいく人もいれば、愛した人、愛してくれた人を思い、気遣い、感謝しながらこの世を去る人もいる。この写真集に出てくる人は、ほとんど後者だ。人間の尊厳、という言葉を思い返す。そして見えない神を思う人。私は何を思うのだろう。私にもその日は必ずやってくるのに、まだまったく分からないのだ。

2020/02/09

zoros

自分の誕生日祝いに買いました。終末ケアを受けている患者さん達の写真とインタビューと手紙をまとめたものです。 私にも必ず来る『その日』の前に、彼らが教えてくれたことは得難いものでした。

2020/02/05

yoshi

終末期医療、緩和ケアを受けている人たちへのインタビュー写真集。彼らが語る言葉はさらりとしているように見えたり、重く含蓄があり、達観していたり絶望感と希望感が混じっていたり、様々に来し方を振り返り人生の意味や尊厳(まさにQOLとは何なのか)について考えさせられる。自分なら何を語るだろう、何を思うだろう。解説にあるように人は死を前に二極化する、というのではなく、きっと驚嘆、狼狽などの先に心の平安を得るところまでのプロセスがあるんだと思う。

2021/11/14

なーやん

もう表紙から、良き。死の匂いプンプンしてたね。明るくて潔い、通り過ぎる風みたいに、みんなサラッと最期の言葉、綴ります。事実しかないのよ、そこに1人の人間がいて、生きた証があって、もうすぐ向こうに行く。その瞬間を切り取った写真は、刻まれてて、ページの重さも相まって人生が伝わってくる。当事者に近づきたくて、慮るけれど、所詮到達する術もなく他人事で終わる。それでいいし、それが自然。「メメントモリ」ただそれだけで充分でしょ。死は人生の待合室って、パワーワード頂きました。

2021/03/27

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