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食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史

食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史

食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史

作家
ルース・ドフリース
小川敏子
出版社
日本経済新聞出版
発売日
2021-04-02
ISBN
9784532240028
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食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史 / 感想・レビュー

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skunk_c

人類がいかに自然の恵みである食糧を増産してきたかというある種の技術史的な要素が強い本。水や窒素、リンなどの自然循環では漸進的な食糧増産しかできない中、化学肥料や品種改良など、様々な知恵の発露で人口に見合う食糧を作り続けてきた歴史をたどっている。その過程で様々な問題が生じ、現代では地球温暖化、肥満など種々の課題が発生していることに言及しながら、結局は極めて楽天的な見方をする。煎じ詰めてしまえば、「先のことはよく分からないが、今までも人間は知恵で乗り切ってきた。これからも乗り切れるだろう」といった感じだ。

2024/04/04

Bashlier

3/5 産業革命以降、過去とは比較することが出来ない程のペースで人口が急増。背景には急激な食糧増産。その歴史が非常にわかりやすくまとめられた良作です。マルサスとの比較のため、下準備としてよい学習になりました。ただし、食料大増産は”環境負荷を無視してエネルギーが無尽蔵に使えることを前提”として成立しているという点も浮き彫りにしています。世界の投資家がESGを重視し始めた今、この土台が崩れるのか、そうでないのかリアルタイムで見守る時が来ております。

2023/03/07

Hiroshi

地理学者として衛星写真を利用した土地利用を研究し持続可能な開発を教える著者が、地球の循環系を考えながら人類が食糧をどのように獲得してきたかを見る本。世界の人口は、1800年に10億人弱、1900年に15億人、1950年に25億人、2000年に60億人、2010年に70億人に増えた。その食糧を賄えているのだ。恒星の惑星として生物が発生して人類のように高度な文明を築けるのは希だ。その地球で人類は狩猟採集民生活から農耕牧畜民生活へ、そして都市生活へ道のりを歩んできた。人間にとっての究極のエネルギー源は食べ物だ。

2024/02/18

オイコラ

悲観的でも楽観的でもなく警鐘を鳴らすという趣旨でもない。食糧、農作物を巡る自然の循環と歴史をダイナミックに展開し、小説を読むのと同じ、なんだかワクワクするような気持ちで読んだ。現代の問題を指摘しながらも前向きな希望を絶やさない。いろんな作物について◯◯原産とか、いつどこから伝わったとか、香辛料を求めて航路の開拓とかは学校で学んだりしたけど、肥料もまた重要な輸入物だったことは初めて知った。麦や稲の品種改良による大きな変化はごく最近のことというのも驚き。問題提起とかそういう趣旨にとどまらない面白さだった。

2021/11/29

お米ビール

うーん、濃かった。地質学的な時間をかけて営まれる資源循環を、人間は驚異的な短期間で行えるようにイノベーションを起こし、成功すると次の問題が発生する、の繰り返し。歯車と手斧。巷で見聞きすることがふえたSDGsというビジネスブームは、そう言っておけばウケるでしょ的な側面を感じてあまり好きではないのだけと、この本で書かれているような内容を深く理解したうえで取り組まなくてはいけないなと思った。自然と人文の目線がバランス良く、地理学のアプローチが素晴らしいと思った。

2023/05/28

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