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しずかに流れるみどりの川

しずかに流れるみどりの川

しずかに流れるみどりの川

作家
ユベール・マンガレリ
田久保麻理
出版社
白水社
発売日
2005-06-28
ISBN
9784560027264
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しずかに流れるみどりの川 / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

仏の小説家マンガレリの1999年の作品。子供の目から見た世界は魔法を帯びている。本書に登場する町や川、原っぱ、レストランなどは現実の世界のものというより、童話の世界のものだ。プリモの父は定職を持たず、芝刈りなどをして生計を立てている。貧しい生活なのだが、二人の絆は強くてお金がなくても幸せに暮らしている。現実の世界が忍び寄ってくることもあるのだがプリモの繊細な感受性はフィルターのように働き、現実の醜さは濾過されていく。クライマックスの教会の場面は哀しいけれど、ユーモラスで詩的な輝きがあって忘れがたい。

2014/07/01

雪うさぎ

草むらに掘ったトンネルの中にいると、忘れられない光景が浮かび上がる。しずかに流れるみどりの川。それは幼い頃の幸せな記憶。そして母への追慕の気持ち。あの時、流れに逆らいながら泳いでいた魚に、少年はなりたかったのだ。雨粒は背丈より高い草の上で蒸発し、吹く風も又、草の穂先をなで通り過ぎていくだけ。ただ一人少年を残して。薄明かりの中灯される、父と二人きりの貧しい暮らし。しかし、少年には小さなガラスびん1個の幸せがあれば、それだけで満たされていたのだと思う。今も心の中にあの川は流れているのだから。

2016/05/17

ぶんこ

こういうお父さん、ずっと変わらないままなのだろうな。 プリモがいい子なだけに、将来が不安になる、現実的な私。 情景描写、プリモの心象風景が美しいだけに切ない。 お父さんがプリモを愛している、誇りに思っている、虐待していないところが救いです。

2015/03/15

伊之助

父との生活を綴った少年の回想。登場人物が少ない。母もいない。少年以外の子供もいない。父との貧しい生活があるだけだが、貧しさへの憂鬱はあまり感じない。読んで感じるのは、一時の、どこか判然としない風景や父子の暮らしを切り取った絵のような小説だったということ。少年の感覚を音楽で聴くような小説だったということか。「草の穂先を風がなでる音」をききながら、空想を馳せ、考えをめぐらすシーンは、ディーリアスのゆらめく音楽。教会の涙のシーンは、エルガーのため息にも似ている。わたしにとっては新感覚の小説。

2015/05/20

ジンジャー(C17H26O4)

きらきらと光溢れる情景と仄暗さの対比の美しさに心が震えた。そしてプリモの優しさに胸が詰まった。 プリモが草むらのトンネルをひたすら歩くのは、どうにもならない貧しさを直視しないためだろう。つるばらに賭ける父親に抱いてしまう期待と不安を無意識にごまかそうとするためだろう。でもアンガスにつるばらの現実を告げられた瞬間、情景から光が消えた。プリモが空想の世界にはもういられないことを悟った上で、みどり色のしずかな川の青色のマスの会話を父親とする場面は、→コメントへ

2018/01/06

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