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インド夜想曲

インド夜想曲

インド夜想曲

作家
アントニオ・タブッキ
須賀敦子
出版社
白水社
発売日
1991-01-01
ISBN
9784560042724
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インド夜想曲 / 感想・レビュー

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まーくん

何とも不思議な感覚にとらわれる。西洋人のインドに対する想いが静かに流れている。失踪した友人を尋ねてボンベイから南インドを巡りゴアに行き着く。そして、そこに自分の姿を見出す。混沌のインド。夢か幻か?現実感の希薄な魂の旅。インド人医師に「インドで失踪する人はたくさんいます。インドはそのためにあるような国です」と語らせてるのが印象に残った。訳は須賀敦子さん。著作は何冊か読んだが、訳書は初めて。巻末、須賀さんのタブッキについての解説も興味深い。「インド夜想曲」が一番わかり易い作品とのこと。どうして、なかなか・・。

2019/05/15

♪みどりpiyopiyo♪

大きなことが起こらない朧げな物語が好きです。このお話も、異国の暑い夜をたゆたうような、心許なくも心がのびのびするような、心地よいお話でした。■叙情性ゆたかで詩的な世界。優しい眼差し。様々な謎めいた状況に読み手を置くことで神秘の国インドをより深く体験させてくれた様に感じました。浮遊感のあるお伽のような世界を自分も共に旅しているような心地になるのは、須賀敦子さんの訳文に依るところも大きいと感じます。■暑い季節に読めてよかった♪ 眠れない夜の読書にもおすすめの1冊です。(1984年)(→続

2018/08/23

Gotoran

須賀著書繋がりで本書を読んでみたく。行方不明の男を探す主人公の幻想的な旅行記。読み進める内に、独特の摩訶不思議な世界の中に、知らず知らずいつの間にか、読み手も迷い込んでしまう。インドの神秘的で混沌とした空気が伝わってくる。静かではあるが、幻覚的でスピリッチュアルに満ち溢れた読後感が心地良い。

2014/09/17

キジネコ

私達あるいは魂は、旅をしている。時を、あるいは混沌を。男が一人インドを、猥雑と清廉の地を、光と影の世界を旅しています。失踪した友人を、あるいは自分自身をさがす旅「宿泊は今夜だけ」ホテルという定点を、切り取られた空間を描写しながら。その句読点をたどり物語は場所を移します。何故?の問に作家は意味深な沈黙を守ります。答えを手付かずのまま宙に浮遊させて読者が手に取る瞬間を待っています。偏狭な本読みは、決して多いとは言えないけど、それでも色んな作家に出会いました、今日知ったタブッキは他の誰とも違う。旅の途中、黙考。

2015/03/16

ふじみどり

イタリア人の主人公が行方不明の知人を探してインドを旅をするという目的を軸に、道すがら出会う人との静かな交流を描いた物語。導入部分や`引き延ばすとコンテクストが本物でなくなる`などややいい訳めいた会話で読者をなんとなく納得させつつも書きたいことだけ書くという手法に潔さを感じる。煙にまかれた感は否めないがやっぱりおもしろい。ごく自然な和訳もすばらしい。

2013/01/31

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