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文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス)

文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス)

文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス)

作家
アゴタ・クリストフ
堀茂樹
出版社
白水社
発売日
2014-09-23
ISBN
9784560071953
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文盲: アゴタ・クリストフ自伝 (白水Uブックス) / 感想・レビュー

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zirou1984

その言葉を使うことで己の母語が殺されるのをわかっていながら、それでも物語を紡ごうとすること。亡命作家であるアゴタ・クリストフの作品から漏れ聴こえる引き裂かれた悲鳴は歴史の慟哭であり、そうした母殺しの必然性を背負った故の声なき叫び声でもある。それでも、彼女は読むことの、書くことの喜びを捨て去らなかった。諦めなかった。だからこそそれは今も多くの人を夢中にする。簡潔な言葉で語られる半生の記録は透き通った湖に沈殿する澱のような、美しさに相反する不穏さが見え隠れしている。それは一つの悲劇であり、一筋の希望でもある。

2015/01/26

かみぶくろ

悪童日記三部作に魅せられてついつい自伝も読んでしまう。なんて寡黙な自伝だろう。おばあちゃんが孫に思い出をポロポロ語るレベルの簡潔さだ。個人的に惹かれたのは、この人の小説が4作でほぼ絶筆になったこと。勝手な見解で恐縮だが、たぶんもう書く必要がなくなった。喪失と貧困のルサンチマンが三部作を書くことで一定程度昇華されたゆえに、ひりつくような物語を書く動力は失われてしまったのではないだろうか。もちろん、そのことはこの人の作家としての偉大さを損なわない。すべてを出しきったからこその、悪童日記のあの輝きである。

2014/11/12

Y2K☮

創作と同じ文体&空気を纏った自伝。「悪童日記」三部作や「昨日」の副読本という感じで(不動の術など元ネタも出てくる)、そことリンクしない出来事には殆ど触れられていない。簡潔な文体と長くないページ数で満足感をもたらすのも小説と同じ。著者の腕も然ることながら理解ある訳者の力が大きい。アンナ・カヴァンと同様、この人も理不尽な人生の中でポジティブな志向性を保つ為に読書と創作を欲した一人だろう。作家業で成功するよりも亡命などしないで済む方が幸せに決まってる。ところで著者の文筆業のルーツは戯曲なのかな? ぜひ読みたい。

2015/10/24

Nobuko Hashimoto

『悪童日記』作者の自伝的短文集。一文も本全体も短くて、あっという間に読めてしまうが、読み終えるのが惜しくて仕方ない珠玉の一冊。著者はハンガリー動乱後、4ヶ月の赤ん坊を抱いて亡命する。4歳から本を読んできた著者にとって、亡命後の数年は「文盲」の日々であった。仏語で読み書きできるようになってからも、母語のようには扱えない。それでも作家として挑戦し続けるときっぱり宣言する。母語でないからこその簡潔な文体が胸に迫る。通勤電車で涙した。

2016/04/13

活字スキー

【何か読むものが手元にあるかぎり、街灯の明かりを頼りに読み続ける。そして涙にくれながら眠りに落ちる頃、いくつかのフレーズが闇の中に生まれる。それらが囁きかけ、韻を踏む。歌い出す。詩になる】まず初めに言葉あり。それは愛か妄執か。生きる意味、見果てぬ夢、終わりなき戦い。ごく短い、簡素な筆致で語られる自伝的物語にこれほど魂を揺さぶられるとは畏れ入った。これが“本物”の力なのか。あぁ、己の語彙と創作力のなさを嘆きつつも、物語る全ての者達への敬意を新たに、これからも本を読み続けよう。

2015/04/11

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