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夜の声

夜の声

夜の声

作家
スティーヴン・ミルハウザー
柴田元幸
出版社
白水社
発売日
2021-10-29
ISBN
9784560098738
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夜の声 / 感想・レビュー

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のっち♬

『Voices in the Night』より『ホーム・ラン』未収録の8篇。『私たちの町の幽霊』で非現実への抑え難い好奇心を追求し、現実認識の揺さぶりは作品全体に影響している。『妻と泥棒』『マーメイド・フィーバー』『近日開店』は非日常に対峙した混乱が鮮やかに描かれていてどれも視点・毛並が異なり、程よく滑稽味もあって退屈しない。特にマーメイドは関心の焦点が顕現している。『アメリカン・トールテイル』は誇張した設定と比喩が愉快。『場所』と表題作は時空を跨いだ構成の妙が光る傑作。夜眠れぬ者に静かな声を届ける一冊。

2022/11/24

やいっち

本書は「ラプンツェル」や「私たちの町の幽霊」「マーメイド・フィーバー」「夜の声」など8作品の短編集。必ずしも小説読みが得手ではない自分は、ミルハウザーの世界は初めてで最初の「ラプンツェル」からしてこの世界をどう受け止めればいいのか戸惑い続けた。数編を読んで自分の常識に引き寄せるのではなく、素直にありのままに叙述に従えばいいのだと気づいた。

2022/02/26

けろりん

目覚めよと呼ぶ声あり。濃密な夜から掘り出され、ミルハウザーという焔に灼かれ窯変する寓話、ルポルタージュ、駄法螺。奇想と流麗な語りが紡ぎ出す新たな神話。闇の底を渉る声。密やかに五感に滲みいる冷たい夜の香り、比類なきその手触り、その容。

2021/12/18

キンモクセイ

〝ラプンツェル〟ディズニーやお伽噺で描かれるラプンツェルとは違う。王子が足繁く通う理由は宮廷の着飾った美しい婦人たちとは違う。記憶に留めて置くことができないラプンツェルの魅力。だからこそ毎晩訪れてしまう。ラプンツェルを幽閉している女魔法使いもまた彼女に魅了されてしまっているから、夜明けの光とともに会いに行くのだろう。〝私はたちの町の幽霊〟これほど頻繁に出会うとまるで生活の一部みたい。彼らは喋らないしすぐに消えてしまうけど、同じ時間を一緒に過ごしている。他の町には住めない。彼らがいないと物足りないから。

2022/02/21

Tenouji

個人的には「ラプンツェル」で、もたついたが、「マーメイド・フィーバー」「近日開店」「場所」が、凄かった…「マーメイド・フィーバー」ではテクノロジーへの熱狂、「近日開店」では資本集中による急激な都市化への適応などがモチーフか。「場所」は、日本の聖地の話しのようで、全く理解できる内容で、ビックリしたw。さすが、ミルハウザー!

2022/04/10

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