静かなる炎 (PHP文芸文庫)
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静かなる炎 (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー
わたなべよしお
読むたびに、凄い作品、凄い作家だな、と感じる。史実を下敷ききにしながら、そこにある深い闇をドラマティックな描き、さらに人間としての生き方をも根源的に問う。それでいて、エンタメとしても十分に面白い。 なのに、フィリップ・カーの作品は、もう10年以上、翻訳されないのだ。
2022/06/26
hideo
ベルリンとブエノスアイレスの事件が交互に語られる。元刑事のグンターが、さまざまな事件に交錯するように巻き込まれてゆく。ドイツよりもアルゼンチンの風情や香りが漂うハードボイルド系の作品。長い、名前が覚えにくい、ナチスを少し知っていないと登場人物がわからない、最後がやや不満、そういったこと(随分ハードルあるけど)を除けば結構好きな部類。「偽りの街」は随分前に読んだので忘れてしまったけど…原尞さん「沢崎」が懐かしい。
2014/03/07
わたなべよしお
重いテーマだし、主人公が所謂、大活躍をするわけでもない。脅され、殴られ、瀕死の目に遭いながら事実に迫っていく。派手さもない。しかし、読ませる。フィリップ・カーは大した書き手です。
2014/01/20
アヤネ
1950年、元ベルリン警察殺人課警察官グンターは祖国ドイツを追われ、アルゼンチンのブエノス・アイレスへ。ここで、失踪した銀行の支店長の娘を探しだすように頼まれる。少し前の少女の事件が、1930年にベルリンとミュンヘンで起きた未解決の猟奇事件に似ていた。。。1950年ブエノスアイレスと1930年ドイツと、章により二つの物語が同時に進む。実在のペロン大統領、エビータ、メンゲレ、アイヒマン、カムラーなどが登場し、歴史の勉強になった。ラストに涙。
2014/08/12
てっちゃん
アルゼンチンにはナチスの残党が多数逃亡したという話は聞いたことがあるが、小説の舞台設定としても面白い。主人公グンターが、時代状況に流されずにナチズムへの嫌悪感を隠すことなく行動する姿は清々しい。
2017/04/03
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