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火定(かじょう) (PHP文芸文庫)

火定(かじょう) (PHP文芸文庫)

火定(かじょう) (PHP文芸文庫)

作家
澤田瞳子
出版社
PHP研究所
発売日
2020-11-06
ISBN
9784569900841
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「火定(かじょう) (PHP文芸文庫)」のおすすめレビュー

「今と重なる!」奈良時代に流行した疫病、不安と恐怖、人間の本質を描いた話題作が文庫に

本日発売の「文庫本」の内容をいち早く紹介! サイズが小さいので移動などの持ち運びにも便利で、値段も手ごろに入手できるのが文庫本の魅力。読み逃していた“人気作品”を楽しむことができる、貴重なチャンスをお見逃しなく。 《以下のレビューは単行本(2017年11月刊行)内容の紹介です》

『火定』(澤田瞳子/PHP研究所)

 こんなにも“今”と重なる小説があるだろうか。2017年下半期の直木賞候補作となった『火定』(澤田瞳子/PHP研究所)の舞台は、奈良時代。民を救うため、というよりは、皇后の兄である藤原四子の威光と慈悲を示すために建てられた施薬院は、出世とは程遠いために官の足が遠のき、町医者だけで成立している。そこに新羅から持ち込まれた疫病――天然痘が流行し、都中がパニックになるなか奮闘する医師たちの物語だ。

 医者になんかなりたくないし、立身出世のためとっとと辞めたい、と不満をくすぶらせている下級官僚の蜂田名代(はちだのなしろ)。本書は、不平たらたらの若き青年の成長譚であると同時に、皇族を診療する職を得ながら同僚に陥れられ牢獄に入れられ、医師としての矜持を捨…

2020/11/6

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火定(かじょう) (PHP文芸文庫) / 感想・レビュー

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yoshida

天平の時代。奈良に新羅への使節が戻る。新羅で得た天然痘が猛威を奮う。施薬院では治療を行うも数多の人々が亡くなる。確たる治療法もない時代、病人の家族は怪しげな護符に縋る。病人の家族は扇動され騒乱も起きる。主人公の名代は施薬院の官人。容赦のない疫病に無力さと無常を感じながらも、治療に当たる医師の綱手の姿に影響を受け成長する。天然痘は度々流行したが治療法が無い時代、多くの犠牲を出した。コロナ禍の現代、ワクチンを例にしても様々な考えや説が飛び交う。自分で情報を判断し流説に惑わされない。現代に通じる内容がある作品。

2022/05/05

サンダーバード@怪しいグルメ探検隊・隊鳥

奈良時代を舞台にしたパンデミック物。天平年間に新羅からもたらされた天然痘は瞬く間に奈良の都に広がり、貧しき者も貴族も区別することなく命を奪う。全く治療法の無い時代、時の政府は為す術も無く思考停止し、心ある医師は少しでも人々の苦痛を取り去ろうと孤軍奮闘する。怪しげな新興宗教が流行り、流言飛語による暴動で渡来人の命が奪われる。コロナ禍以前に書かれた小説であるが1,300年経った今でも世の中の状況は全くと言っていいほど変わっていないように思える。★★★★

2021/04/04

クプクプ

澤田瞳子さんの本を読むのは「若冲」に続いて2冊目です。天然痘がテーマの話でした。私はこういう病気や医者がテーマの話はもともと好きなのですが、今回は漢方の植物の名前が漢字で登場したので、より楽しめました。私は東京都薬用植物園へよく行くので、物語に出てくる漢方の植物を読んで東京都薬用植物園のことを思い出しました。私は日本史に疎いですが、澤田瞳子さんの本は、この先も、もっと読んでいきたいと思いました。読書の成功体験になりました。

2022/12/18

大阪魂

澤田さんの歴史本!さすが一気読み!奈良時代、藤原四兄弟が疫病で死亡って日本史でみたけど、その疫病「天然痘」が8万人の奈良人口の3割死なすほど猛威ふるった地獄絵を2人の主人公、施薬院の新米職員・名代と冤罪で侍医から追われた諸男を軸に描かはったお話!ちょっとええなあっておもた登場人物は次々、天然痘とかで退場してくから読んでてつらい💦一方、まじない札売って儲けまくろって悪いやつはなかなか退場せえへんしねー💦そんな中、施薬院の医師・綱手の矜持には医者ってやっぱすごいなって思わせてもろた!コロナ対応も感謝です!

2023/04/10

niisun

天平九年(737年)、奈良時代の都を襲った天然痘のパンデミックの只中で、市井の人々を治療した施薬院を舞台とした物語。新羅から戻った遣新羅使の罹患者から広まった感染症。急速な感染拡大の中で広まるデマや差別、便乗商法。政府の無策と医療の崩壊。5年前の2015年に上梓されたというのが不思議なほど、既視感のある出来事が次々と繰り広げられる。歴史は繰り返すとは言え、物語の舞台からは遠く1300年、人類の進歩はいかばかりか。澤田瞳子さんの作品を読むのは4作目。奈良時代を描く稀少な作家さんなので今後の作品も期待したい。

2020/12/23

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