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破滅の王

破滅の王

破滅の王

作家
上田早夕里
出版社
双葉社
発売日
2017-11-21
ISBN
9784575240665
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破滅の王 / 感想・レビュー

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鉄之助

「王」とは、キングと呼ばれる生物兵器。抗菌薬が効かず致死率98%の猛毒性がある。実際に存在した旧・日本陸軍の生物兵器の開発を担った「石井部隊」が絡んで、リアルに迫ってきた。医学者でもあった石井四郎中将はもとより、なぜ部下の科学者たちが禁断の生体実験(捕虜や盗賊などの犯罪者を対象に)を行うまで暴走したのかが、知りたくて夢中で読んだ。捕虜を「マルタ(木材の丸太の意味)」と呼び、1本、2本と勘定。人として扱わないことで、人間としての感情を圧殺。さらに部下たちに「君も監獄に入るかね?」と、恐怖を植え付けていた →

2023/02/18

starbro

直木賞候補になって、直ぐに図書館に予約したので、思ったよりも早く読めました。第159回候補作(4作目/6)、上田早夕里、初読です。本書は、ノンフィクションのような731部隊細菌戦争ミステリでした。戦争ミステリとしては、佳作だと思いますが、直木賞受賞には力不足です。学生時代に読んだ森村誠一の『悪魔の飽食』シリーズを想い出しました。本作の参考文献に『悪魔の飽食』シリーズが含まれていないことが不思議です。また本書は2017年11月24日発売ですが、第159回直木賞は2017年12月1日以降発売の作品が対象では?

2018/06/27

ウッディ

戦争のキナ臭さが強まる中国で、上海自然科学研究所の細菌学者、宮本は灰塚少佐から細菌兵器に関する機密文書の精査を依頼される。それはキングと呼ばれる治療法のない新種のバクテリアに関するものだった。正気を失った研究者と軍の企みを食い止められるのか?フィクションでありながら、731部隊の史実ほどの狂気や恐怖を感じられなかった割に長い物語で、途中だれてしまった感があった。国を超えた学者そして官僚の倫理観によって危ういところで世界の破滅を逃れてたのかも‥という作者の思いが伝え切れてなかったような気がします。

2019/06/15

fwhd8325

久しぶりの二段組。読み応え充分の作品でした。七三一部隊については初めて読んだと思います。フィクションとノンフィクションの境がよくわかりませんが、実に重厚でサスペンスに満ちた物語でした。破滅とは、まさにふさわしいタイトルです。そもそも戦争という行為が、破滅なのだと強く感じます。まさに今でも、こうした研究はどこがで続いているんだと想像します。本当の勇気・正義というものがしっかりと描かれているのが救いです。

2018/10/19

ナイスネイチャ

図書館本。最後の登場人物の人生が綴られていたのでノンフィクション?と思えてしまう内容。細菌兵器、人体実験とおぞましい戦争の歴史。正義を戦時中に訴える科学者、本当に認めてもらうには戦後何年も経ってから。科学者の立ち位置と政治家の国益を優先する考え方、どちらも当時正論だとなる風潮が戦争の恐ろしさと感じる。

2018/09/10

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