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罪人が祈るとき

罪人が祈るとき

罪人が祈るとき

作家
小林由香
出版社
双葉社
発売日
2018-03-21
ISBN
9784575240825
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「罪人が祈るとき」のおすすめレビュー

凄惨ないじめで自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親。被害者に救いの道はあるのか? 

『罪人が祈るとき』(小林由香/双葉社)

 デビュー作『ジャッジメント』で凶悪犯罪者に対する私的な復讐が合法になった世界を描き、復讐者の葛藤と苦悩を描いた小林由香。第2作『罪人が祈るとき』(双葉社)のモチーフとなっているのは“いじめ”だ。

 いじめを苦にした自殺は後を絶たない。自ら選んだ死とはいえ、それはもはやいじめ加害者たちによる殺人行為といっても過言ではないだろう。死んだほうがましだ――そう思ったとき、心はすでに殺されている。そして、いじめによって死んだ子を持つ親もまた、子を救えなかったことで自分を責め、どこまでも苦しみ抜く。親もまた、いじめの被害者なのだ。本作の主人公となるのは、そんないじめの被害者となってしまったふたりの人間だ。

 高校生の時田祥平は、同じ学校の先輩である川崎竜二とその仲間たちに理不尽に金を要求され、日増しにエスカレートする暴力に命の危険すら感じていた。親友に裏切られ、親との関係もうまくいかず、誰からも必要とされていないと感じている祥平は、竜二を殺してから自分も死のうと思いつめるようになっていく。

 そして、いつものように集団でリ…

2018/4/12

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罪人が祈るとき / 感想・レビュー

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starbro

読メの評判が良さそうなので、読みました。小林由香、初読です。最初、スティーブン・キングのITのオマージュ小説かと思って読みましたが、社会派いじめミステリでした。読んでいて大変辛くなりました。いじめは絶対なくせないと思うので、最悪の事態(殺人、自殺)だけは回避する教育をして欲しいと考えています。

2018/06/12

nobby

小林作品2作目もテーマは同じく復讐。いじめによって息子を失った父親と、今まさにいじめに苦しむ少年、いつのまにか重なり起こる殺人は偶然それとも必然か…物語の意外さはあまりなく、ひたすら生命の意味を問う。ピエロを不気味で怖い存在として登場させながら、パントマイムの滑稽さと絡め物悲しさ生む描写が印象的。終盤での必死に紐を引く場面は涙無くしては読み進められない…「本当の罪人は誰ですか?」人を殺してはならない、この当たり前な戒めへの問いかけが何とやるせないことか…残された少年の周囲に、いい人達の姿があることが救い。

2018/05/28

のり

息子が虐めを苦に自死。さらに妻も後追い。真相を明らかにしようとする父親。そんな中、同じ地区で別の虐めにあっている高校生。そこに謎のピエロが助けてくれた。家族に必要とされないと思う彼は死のうと考えていた。ピエロとの出会いで考えを改め、復讐を計画するが…だんだんと繋がってくる不思議な縁。復讐は赦される事ではないが気持ちはわかる。子供を失った遺族としては当然と言えよう。自分もその立場だったら…犯罪予備軍の一人でもある。

2019/05/06

うっちー

前作と同じ感想。重い、重すぎる

2018/06/30

しんたろー

『ジャッジメント』で唸らされた小林さん2冊目は、前作のテーマ「復讐の是非」を掘り下げて長編化したような内容…虐められて自殺した息子がいた会社員・風見と虐めに苦しんでいる高校生・祥平の二本軸で進む物語は、辛いのに先が気になって読む手が止まらない。それは単なる現象に留まらずに頷ける心情が溢れているからだ。人間関係が繋がり過ぎな部分があるのが玉に瑕だが、物語としては目をつむれる範疇だろう。子を持つ父親の身として風見の想いが手に取るように判って胸が痛いが、祥平とのシーンから救いを感じられて読後感は悪くなかった。

2019/07/03

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