できそこないの世界でおれたちは
できそこないの世界でおれたちは / 感想・レビュー
いたろう
著者初読み。「シロウ」45歳、バツイチ。若い頃はバンドのボーカル、今はフリーのコピーライター、と言えば聞こえはいいが、下請け最下層のフリーランス。一方で、かつて一緒にバンドを組んでいた「ドラム」は、今では、紅白に出るメジャーバンドのドラマーでセレブ気取り。その違いすぎる境遇の二人の、文句を言い合いながらの凸凹コンビぶりが絶妙、シロウのぼやき、ヘタレっぷりが軽妙で可笑しい。そして、かつての仲間たちとの再会が、若かりし頃を思い出させたり、新しい今を作ったり。「できそこないの世界」も悪くないと思わせる中年賛歌。
2018/06/28
信兵衛
中年になったからといって、二度と青春は戻らず、と決めつける必要はないのかもしれません。本ストーリィ、理屈を放って、楽しいです!
2018/06/18
くみこ
主人公シロウは下請けコピーライター。昔のバンド仲間で親友のドラムは、今では紅白出場も決まった人気ドラマー、と暮らしぶりは違っても、付き合いは続いています。シロウは、ドラムの「四捨五入したらおれらも五十なんだ」の台詞がなかったら、20代後半か、せいぜい30代の男性かと思うほどです。でもその軽さが、音楽を通して昔馴染みの面々を再び集わせ、一人の少年を支え、ちょっとだけ大人にさせる、なかなか素敵なストーリーでした。もっと自由に、もっと多様性をって事なんだと思います。"現代人は実年齢の8掛け"説を思い出しました。
2020/09/08
ゆう*
50才手前のコピーライターの男性の物語。音楽がいっぱい。少し中島らもさんみたいです。
2019/01/01
ふる3
これは思わぬ収穫。一つの文が長いのがいい。リズムが好み。 自分の人生はこんなことで良いのかと悩んでみたり、あるいは悩むのをサボって一時の快楽に耽ったりするアラフィフ男の話を他人事とは思えない。他人事だと思えないから面白いのではなく、面白いのに別の調味料が加わった感じがする。 自分の事がよく分からなくなったり、厭世観が強くなったりする、いわゆる「中二病」的な病。それが一度で済めばいいけれど、またいい歳してビョーキったりする。そのビョーキをネガティブに描かずに、笑えるポジティブに変える。そんな小説だった。
2018/11/21
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