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刑事の慟哭

刑事の慟哭

刑事の慟哭

作家
下村敦史
出版社
双葉社
発売日
2019-05-21
ISBN
9784575241747
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刑事の慟哭 / 感想・レビュー

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しんたろー

「熱い社会派」下村さんの新作は裁判員制度の問題点とSNSの闇を取り上げた今日的な力作。主人公・田丸刑事が孤独で独善的なのでイラつくのが難点ではあるが、読み進めると彼にも共感できる創りになっているのが上手いし、著者お得意の「熱い男の友情」がラストに効いてくる。裁判シーンでは検察官と弁護士の戦術合戦が傍聴しているような臨場感があった。事件解明に関しては御都合感もあったが許容範囲だし、次々に起こる事件、複合的な構成、畳みかける終盤で充分に楽しめた。田丸は未読の『叛徒』に登場しているようなので読まなくては!♬

2019/07/22

旅するランナー

自分には「居場所」がない、自身の存在理由を問う毎日だ。組織に楯突く者扱いされる田丸刑事と、社会に不満を持つ連続ブラック企業爆破犯の気持ちが交差していく。有能な竜ヶ崎弁護士による裁判員裁判も絡んで興味深い展開。さらに、色んな不寛容が溢れる社会への警鐘まで織り込む佳作。容疑者をわざと間違える主人公に「お前に振り回されたら事件がオミヤ(迷宮入り)になってしまう」とほざく管理官。オミャーがもっとも許せんがな。

2020/02/02

のぶ

下村さんの新刊は警察小説だったが、全体的に暗く静かな物語だった。主人公は新宿署の刑事、田丸茂一。冒頭は新宿のブラック企業爆破事件の発生から始まる。舞台は移り、絞殺体で発見されたOLの事件が発生するが、組織に刃向かい、居場所を失くし事件捜査でも主軸から外されたが、帰宅途中に歌舞伎町の人気ホストの刺殺体を発見する。本書では田丸が孤独な人間として描かれているように感じた。そんな田丸の姿と並行して、裁判員裁判が描かれるが、この内容は非常に興味深かった。いろんな読み方のできる印象を持った作品だった。

2019/06/11

おしゃべりメガネ

上質なミステリーの下村さん作品で、相変わらずシリアスなテーマをネタに展開します。今作も『司法』をネタに書かれており、裁判での検察と弁護人、そして証人とのやりとりは手に汗にぎる圧倒的な迫力です。過去に自分を貫きとおした振るまいにより、今は'1人'になっている刑事「田丸」はその優秀な捜査能力から、2つの殺人事件の共通点を見つけだし、真相に迫っていきます。そんな「田丸」の相棒「神無木」もちょっと変わり者ではありますが、「田丸」を信じ続ける姿には胸をアツくさせてくれます。『相棒は対等』のセリフにしびれました。

2019/07/09

nobby

描かれるのは組織に盾突き村八分状態な秀逸な刑事の葛藤で、それまさに『刑事の慟哭』そのもの。ただ、如何せん主人公の冷めた様子や場違いの猛進にイマイチ情熱や真摯さが感じられないのが残念…序盤で語られるビル爆破事件と新宿を舞台に続く殺人が、裁判員制度による公判に絡んで繋がっていく展開はなかなか面白い。後半で辿り着いた犯人はビンゴで少し得意気(笑)それにしても、徹底的に周囲が聞く耳持たず疎外された結果として、自ら道化を演じる駆け引きでしか解決に導けないとはいかがなものか…互いに相棒を思い合う様にようやく救われる…

2019/06/26

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