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アウシュヴィッツのタトゥー係

アウシュヴィッツのタトゥー係

アウシュヴィッツのタトゥー係

作家
ヘザー・モリス
金原瑞人
笹山裕子
出版社
双葉社
発売日
2019-09-11
ISBN
9784575242041
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「アウシュヴィッツのタトゥー係」のおすすめレビュー

アウシュヴィッツ収容所という地獄で見出した恋と希望――実話をもとにした抵抗の物語

『アウシュヴィッツのタトゥー係』(ヘザー・モリス:著、金原瑞人・笹山裕子:訳/双葉社)

 好きな仕事をみつけて成長したい。さまざまな経験を積んで、世界を見て回りたい。そしてなによりも、この人しかいないという人をみつけ、恋に落ち、ともに楽しい時間を過ごしたい……。

 若者の誰もが胸に宿すささやかな望みを真っ黒に塗りつぶされ、「朝、目が覚めたなら、今日はいい日だ」と思うまでに追い詰められた人々がかつていた。ナチスによる民族浄化作戦で迫害された被害者たちだ。

 第二次世界大戦、アドルフ・ヒトラーが率いるナチス政権は、彼らが思うところの「劣等民族」を次々に収容所に送り込み、殺していった。標的となったのはユダヤ人だけではない。非定住民族のロマやナチスにとっての敵国人、またヒトラーを厳しく批判した学者や言論人も含まれていた。要するに「気に入らない者」なら誰でも抹殺したのだ。

 本書『アウシュヴィッツのタトゥー係』(ヘザー・モリス:著、金原瑞人・笹山裕子:訳/双葉社)の語り手であるラリは実在の人物である。1942年から1945年までの3年間、アウシュヴィッツとビルケ…

2019/10/4

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アウシュヴィッツのタトゥー係 / 感想・レビュー

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みどり虫

ページと各章を示す数字が血の滲むタトゥーのようだ。ラリはアウシュヴィッツのタトゥー係。生きてここを出るという強い意志。愛するギタとの出会いがその思いを更に強くし、彼はその為に生き抜く。そこがアウシュヴィッツであるが故に、それは誰かを出し抜く事や、多くの人々の死を見聞きする事でもある。聡明で一見幸運が重なる人に見えるラリだからこそ、その心の葛藤を思うと苦しくて堪らなくなった。この消せない過去と生きた彼の人生は、巻末のギタとのポートレートの笑顔が少しの救い。読み友さんのレビューから手にした本。読めて良かった。

2020/09/20

どんぐり

緑のインクをひたした布切れを傷口にこすりつけながら針で番号を彫るユダヤ人。アウシュヴィツ=ビルケナウの強制収容所のタトゥー係をモデルに描いたフィクションである。ユダヤ人の貴重品を押収する「カナダ」と称する倉庫での選別、ガス室の遺体を処理する特殊労働隊、大きな石をひとつの場所から別の場所へ運ぶことをくり返しては作業に遅れた者が撃ち殺されるなど、ユダヤ人であることが罪であるかのように多くの者が死の歯車に呑み込まれていく。そのなかで、政治局直轄のタトゥー係は、親衛隊員の管轄外にある立場を利用して同胞のユダヤ人や

2020/01/18

キムチ27

アウシュヴィッツ関連の本の出版は留まる事なく続いている。それは人間がした行為として、けっして目を逸らしてはならぬ事実、而も未だに解明検証が継続する歴史的行為だから。私もこの1年、意識して読み続けた。その中では比較的語りが穏やか。訳者の一人が金原氏と言うこともあり、青少年向け?とも感じられる。ラリとギタの恋愛を絡め、成就まで綴られる。モデルはあるがフィクション。タトゥーを職としたお陰で与えられた特権的立場は「アウシュヴィッツの歯科医」を思い出した。文面の下に埋もれたおぞましい史実を押し図りながら読んだ。

2019/12/19

Hannah_Swensen

第二次世界大戦下、アウシュビッツに送られたスロヴァキア国籍のユダヤ人・ラリの物語。早い段階でたまたま、新しくやって来た被収容者たちの腕に番号のタトゥーを入れる役職に就く。数か国語に堪能で頭の回転が速いラリは、比較的マシな環境の中で部外者とのツテを使って食料や薬を手に入れ、それを他の被収容者のに配ったりする。過酷な収容所生活に残酷な場面もでてきますが、ギタとの恋の行方が気になって、あっという間に読了。実話を基にしたフィクションなので、名簿やラリ達の写真には心が痛みます。続編のチルカの物語の翻訳も楽しみ。

2019/09/25

future4227

5分後には死んでいるかもしれない極限状態。その日一番作業の遅かった者は射殺。移送中に歩けなくなった者も即射殺。病気になって働けなくなったら焼却処分。生きているだけでも奇跡に近い。そんな絶望の淵にあっても仄かな恋を育むラリとギタ。知恵と勇気としたたかさで何度もピンチを切り抜ける様はスパイ小説さながらの緊迫感がある。すべての出来事が奇跡の連続と思えるぐらいの経験を経て、二人は幸せな晩年を迎えることになる。なんとも実話の凄みを感じる作品だ。今度はラリの窮地を救ったチルカの話が第2作で出るとか。楽しみ。

2019/12/16

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