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背中の蜘蛛

背中の蜘蛛

背中の蜘蛛

作家
誉田哲也
出版社
双葉社
発売日
2019-10-16
ISBN
9784575242140
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「背中の蜘蛛」のおすすめレビュー

唐突に容疑者が浮上する違和感…『ストロベリーナイト』著者が描く、前人未到、衝撃の警察小説

『背中の蜘蛛』(誉田哲也/双葉社)

 科学技術の進歩により、かつて迷宮入りしていた事件が解決に導かれることは少なくない。では、情報社会の現代において、警察はどのような最新技術を用いて捜査を行っているのだろうか。その方法を知ることはできないが、私たちはあらゆる場所にあらゆる痕跡を残しながら暮らしているような気がする。街中に目を光らす監視カメラ。プライベートがぎっしり詰まった一人ひとりのスマートフォン。すべてが筒抜けと言われるインターネットの世界…。警察は、事件解決のためとはいえ、そのような情報をどのように扱っているのだろうか。情報社会は監視社会と同義か。そう考え始めると、やましいことがあろうとなかろうと、なんだか息苦しい。

 誉田哲也氏が描く最新作『背中の蜘蛛』(双葉社)の世界は、果たして本当にフィクションなのだろうか。誉田氏といえば、「ジウ」シリーズや「姫川玲子」シリーズなどの警察小説で知られ、どの作品もダークな世界観が魅力的だ。だが、もしかしたら、ここまで強い衝撃を受けた作品は初めてかもしれない。何が衝撃を与えるかといえば、それは、この物語と同じ…

2019/11/20

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背中の蜘蛛 / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ウッディ

池袋の刺殺事件、新木場の爆殺事件、膠着する捜査の中、あっさり犯人逮捕につながる不自然なタレコミの裏に、情報管理課運用第三係(運三)という公表されていない部署の存在があった。WEBという蜘蛛の巣の網の目を監視し、事件に繋がる情報を拾ってくるスパイダー、それは国家による国民の プライバシーの監視でもあった。ネットなしでは生きていけない現代だからこそ、本宮や上山のような倫理感をもつ刑事が必要という問題提起があり、また、退職した田辺と前原姉弟の人間ドラマも読み応えがあり、面白かった。自分的にはこれが直木賞です。

2020/10/17

Yunemo

「背中の蜘蛛」と「蜘蛛の背中」、どこに違いが?著者の意図がここにあるのかな、なんてことを想い。人は一人で生きられない、相互協力の集合体、それが社会であり国家、ここに現実の大きな問題、壁が立ちはだかっている、そんな感覚が沁みての本作品。先端技術の表れは米国の軍事技術の研究、開発から、そして各国へ、民間への波及。その使用方法は多岐にわたり、ついには、各人のプライバシーにおよび、犯罪捜査のエポックとなっていく、もう現実になっているかもしれませんが。蜘蛛の存在が、人間の倫理観を試すものなら、使用者の高潔感のみが。

2019/11/10

しんたろー

久しぶりの誉田さんは得意の警察ものでありながら、ネット社会に警鐘を鳴らす社会派な内容。三章構成の一章と二章は別々の事件が不可解なタレコミで解決して、三章でその謎が解明される構成。人物が多くて混乱するのが玉に瑕だが、各々が段々と繋がってきてからは面白さが増した。世界的に国家の国民監視は行われているのだろうし、その恐ろしさがジワジワと伝わってきた。犯人の哀しい動機には同情できるし、犯人に関わる姉弟の切ない人生も哀しく響いた。本宮と上山の関係やキャラクターが好みなので、二人が新たに活躍する続編を望みたい♬

2020/06/02

Makoto Yamamoto

初読みの譽田哲也。池袋の路上で男の死体が発見された。目撃者もなく捜査は難航、しかし「タレコミ」がきっかけになり捜査が急転逮捕へ。続いて新木場で男女爆殺傷事件が発生し、難航する捜査が、「タレコミ」で容疑者逮捕につながる。双方に関係した本宮、小学生の娘の携帯で悩む上山が絡んでくる。 背景に、サイバー空間での問題もあり、興味深く読ませてもらった。 シリーズものなら他の本も読んでみたい。

2020/07/14

R

最先端の捜査技術を中心としたミステリでした。最新技術よりも、現場で足を使っての捜査が必要じゃないか?というテーマかとミスリードしながら、捜査とは手法ではなく、携わるものの熱意だと教えてくれるような物語。実際に使われているのかわからない先端技術の凄さ、その面白さも堪能できたけども、捜査というものの根幹は、人間の情熱だし、暴かれるほうもまた人間なんだと思わされる内容が面白かった。最初に追いかけた事件が、えらいあっけない幕切れだったのだけ気になるけども、非常に面白い小説だった。

2020/04/29

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