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テロリストの家

テロリストの家

テロリストの家

作家
中山七里
出版社
双葉社
発売日
2020-08-19
ISBN
9784575243116
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「テロリストの家」のおすすめレビュー

自分の息子がテロリストに志願したらどうしますか? 警視庁公安部のエリート刑事が家族や職場での立場を失う中で見つけたものとは?

『テロリストの家』(中山七里/双葉社)

 ミステリー作家、中山七里の『テロリストの家』が文庫化して刊行された。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞してデビュー。『護られなかった者たちへ』(宝島社文庫)、『連続殺人鬼カエル男』(宝島社文庫)などで知られる多作な作家である。

 テロリストがいたのだ、自分の家に。主人公は警視庁公安部のエリート刑事、幣原。イスラム国関連の極秘捜査を担っていたが、突然担当を外されてしまう。自身の息子がイスラム国、つまりテロリストに志願したという疑いで逮捕されたのだ。うろたえる妻と娘、騒ぎ立てるメディア、居場所がなくなっていく職場。……なぜ息子はテロリストに志願したのか? それが本書の最大のミステリーだ。

 きちんと書いておかなければならない。本書はミステリーであるが、家族の物語でもある。まず妻の由里子との関係から綴られる幣原の「家族」は、なんの問題もない、普通の家庭だ。専業主婦である由里子と、朝から悪口を言い続ける大学生の秀樹、高校生の可奈絵。そこには家族で囲む賑やかな食卓があった。

2024/2/24

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テロリストの家 / 感想・レビュー

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starbro

中山 七里は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。中山七里デビュー10周年、12ヶ月連続刊行企画第8弾(現状8/12)は、ノンシリーズ、イスラム国公安警察家族崩壊兄妹愛物語でした。途中まで快調に飛ばしましたが、最後に失速しました。 https://www.futabasha.co.jp/booksdb/book/bookview/978-4-575-24311-6.html

2020/09/23

ウッディ

テロを防止し、国と国民を守ることに使命感を持ち、家庭を顧みず仕事に打ち込んできた公安刑事の幣原。そんな彼の息子・秀樹がイスラム国の兵士に志願した罪で逮捕される。家族にも自分の仕事の内容を話せない公安の特殊性、仕事へのプライドと父親としての役割の間でもがく幣原が苦しげで、ヒリヒリするような読書でした。テロ行為は許されないが、無責任な正義感で当事者を糾弾するマスコミや大衆は、もっと恐ろしい。落ち着きを取り戻しつつある彼ら家族に新たな 苦しみをもたらすことを予感させる意外な結末が、やりきれなかった。

2021/07/04

いつでも母さん

息子がテロリストに志願し逮捕された。父であり公安刑事・幣原のすべきことは・・その息子が殺される事件が起きて、家族の感情や幣原の立場、犯人捜しや息子の真実等々、えーっ!って感じでテンポよく読んだ。仕事熱心な父に家庭を守る母、特別な家族なんかじゃない。だが、親はどこまで我が子のことを把握しているだろうかー読了後はそんなことを思った中山さん12ヶ月連続刊行企画第8弾だった。

2020/09/12

ムーミン

この国に生活する国民の一人として、この世界に生きる人間の一人として、家族の一員として、いろいろな立場で考える場面の多い読書体験になりました。文明の進化で、たくさんのものとつながるようになって、純粋に生きることが難しい世の中にどんどん拍車がかかっているのを感じます。

2020/12/16

utinopoti27

主人公の幣原は、息子がイスラム国のリクルートに応募したことで窮地に追い込まれる。なぜなら彼は現役の公安警察官だからだ。仕事は閑職に追いやられ、マスコミには追い回され、世間からは激しいバッシングの嵐。そしてさらに事態は最悪の展開を迎えて・・。国を護る職に殉じるか、父としてかけがえのない家族を守るか、究極の選択を迫られる彼の苦悩がリアルに描かれる。タイトルは『テロリスト』だが、中身はまごうことなき『家族愛の物語』だ。本作は社会派小説を標榜するだけあって、読みごたえ十分。最近の中山作品の中では出色の出来かと。

2020/10/11

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