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少女モモのながい逃亡

少女モモのながい逃亡

少女モモのながい逃亡

作家
清水杜氏彦
出版社
双葉社
発売日
2020-11-18
ISBN
9784575243482
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少女モモのながい逃亡 / 感想・レビュー

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モルク

1939年代のソビエト社会主義による農業集団化政策とウクライナを中心とする大飢餓の時代に平等の名のもとに富裕層を排除、密告とお互いの監視という状況の中、家族も奪われた少女モモが故郷を離れ都会に逃げたものの…貧困、守りたい人とも離れれば二度と会うことはできない。お互いに探りあう、あの人は信じられるか…彼らの多くは国を愛していた。怒りの矛先は裏切った仲間や看守、青年同盟員というしたっぱ。党の中枢部、スターリンに向くことはなかった。無知で呑気な自分を知る!紹介してくれた読友さん、ありがとう!

2021/06/29

そら

本当に救いがない物語だった。どんな残酷な事件よりも、人間の尊厳すらないこの物語は私の記憶に永遠に残るほどのインパクトがあった。戦争とも違うし、ナチス政権に似てるけどこの物語のベースは何だろう…?その疑問から本書は1930年代のソ連(現ロシア)農業集団化政策と大飢饉だと知った。恥ずかしながら、世界史(日本史含む)に全く興味がなかった私はこの歳にして社会主義を知ることとなる。国により守られているはずの生活が、国により壊されていく。今ある生活や日々のことがどれだけ尊いか?この読書体験は素晴らしい価値となった。

2021/06/13

ヒデミン@もも

タイトルと装丁に惹かれて手に取った。中国の大革命時代を思い起こさせた。「人民の敵」って。作者が何を伝えたかったのか、よくわからなかっ。この時代に生きた少女モモの過酷な人生は想像に難くない。

2022/02/15

谷ヤン

少女が佇む、おだやかな装丁を開いてみると、そこには世界近現代史のなかでも、かつて、旧ソ連、中国、カンボジアがたどった黒歴史の末路が描かれている。本書は、生き抜くためにひたすら逃亡し続けた少女のロードノベルだが、共産主義国家の一部の国で、市民平等を標榜し、資産家、富農、知識人を排除し、その過程も、結果も、一般市民を巻き込んで、多くの人権が蹂躙された辛い過去があったことを忘れてはいけない。これは飢饉だけがもたらした悲劇などでは決してない。

2021/01/30

のりすけ

死が当たり前にすぐそばにある世界。不条理だと怒るより諦めが勝ってしまう世界。コロナでわちゃわちゃ言うてるのが申し訳なくなるくらい。美しかったであろう少女が垢にまみれ、生きていくことだけですり減っていく。エアコンのかかった部屋でアイス食べながら読んでて土下座しそうになりました。何の救いもないのが、ほんとマジ辛い。苦しさだけが延々と綴られてているのに、どこか静謐さもある文章は好き。

2021/01/08

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