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なまものを生きる

なまものを生きる

なまものを生きる

作家
少年アヤ
出版社
双葉社
発売日
2019-06-19
ISBN
9784575314632
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「なまものを生きる」のおすすめレビュー

自ら名乗った「おかま」の衣を脱ぎ捨て、なまものとして生きる。少年アヤの最新エッセイ

『なまものを生きる』(少年アヤ/双葉社)

 つつがなく過ぎていく私達の日常には、ときどき小さなほころびが見える瞬間がある。友人がちょっとしたウソをついていることが分かったり、寂しさや辛さを隠すために、自分が人前で無理におどけているのに気づいたり。

 ふつう人は、そうした違和感には気づかないフリをして生きているのだが(そのほうが楽だから)、そこで立ち止まり、真剣に考え込んでしまう人もいる。エッセイストの少年アヤさんは、きっとそんな人だ。

 その新刊の『なまものを生きる』(双葉社)は、アヤさんが半ば自覚的に選択した貧乏な日常を綴るエッセイだ。そこでもアヤさんは、いろんなことに気づいてしまう。

 貧乏なのにやたらとお金を使いたがることについて、「もしかするとそれは、社会と関わりたい、という衝動であり、感情だったのかも」と考える。部屋着のような服装でどこにでも外出し、バイトの応募にも行っていた自分に気づき、「ただ部屋の中で、だらしない格好のまま、壮大な夢を見ていたにすぎないんじゃないだろうか」とハッとする。友人と食べたマズい料理を「美味しい」と言ったことを気に…

2019/7/21

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2019/11/2

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なまものを生きる / 感想・レビュー

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てまり

社会の中でどんな役割も持たないで自由ですこしいじけてびんぼうをやっている少年アヤちゃんの日記。 なんだか頼りなくて自信というには遠そうだけど、過剰ないろいろを脱ぎ捨てて楽になったみたいだ。 自由でいるには、自分を受け入れて大事にできる強さも必要なんだよね。 友達も家族も、みんな愛情深いなぁと思う。 読後感は楽しいだけじゃなく、晴れやかだ。いいね。

2020/07/07

もよこ

びんぼうになったアヤさんは、リアルなことしか言わない。「うん、これがびんぼうってことなんだよなあ」ってこと。細かい出費を積み重ねて前より無駄遣いが増えてしまうこととか、がらくたばかりのおうちとか、ガス代払えないけど銭湯代は今すぐ出せるから行っちゃうとか、安いものに飛びついて結局出費が増えるとか。読みながら、自分もびんぼうを自覚して、そして見つめ直す。うつくしいびんぼうになりたいな…。

2020/03/02

iamaymg

アヤちゃんの友だち、がみんな最高。バッハにあこがれる。「すれちがうたった一瞬のあいだに脱臭され、漂白され、記号化される」人生があっていいわけない。わたしも、じぶんを愛してくれる人たちのために、わたし自身の遭うささやかな暴力みたいなものに、もっと怒りたいと思った。そしてきっといつまでも、たくさん泣くわたしでありつづける。ありつづけよう。

2019/06/26

硬水

少年アヤちゃん、5冊目の本。全部買ってる。今のぼくには珍しいことだ。5冊も読んでいると、それぞれに重なってくる場面があって、でもその捉え方はどれも違っていて、あれ?どれが本当?なんて思ったりして。でもそれは大して重要なことではない。いま目の前にある文章を信じて、笑って苦しくなっていればいい。そう思わせてくれる文章が彼の持ち味だ。5冊目を読み終わって、やっぱりぼくは彼のファンなんだと再確認することができた。これからもずっと買い続けたい。

2019/08/25

ざき

お父さんとの関係が改善していてよかったなと思った。アヤちゃんが日々を過ごしてる情景を読むだけでなんとなく救われますね。激しさが柔らかくなって、キラキラしてるけど穏やか、みたいな印象を受けました。お医者さんとか携帯ショップの理不尽さ、めちゃ共感。最後のところ良かったです。ぼくだけの切符。

2019/07/29

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