ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録
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「ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録」のおすすめレビュー
幸せに生きようとすると社会が「壁」として現れる。自分が自分であり、ゲイであることと向き合う少年アヤ最新刊
『ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録』(少年アヤ/双葉社)
「自分を受け入れることなしには、他人を受け入れることなんてできないよ」
こうした自己啓発書に出てきそうなフレーズで助言を受けると、思わずイラッとしてしまう人は多いはずだ。
この言葉はおそらく真実だと筆者は感じるが、言葉を知っただけで自分を受け入れられる人なんて、まずいない。ありきたりの真実めいた言葉に辿り着くには、やはり誰もがその人なりの努力をして、失敗も重ねて、その人なりの遠回りもすることが必要なのだろう。
エッセイストの少年アヤさんの新著『ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録』(双葉社)は、そうやってアヤさんが自分の人生に真正面から向き合ってきた記録だ。
アヤさんは高校時代の友人たちと自ら連絡を絶ち、再び交流するようになるまで10年を要した。父親とも13年間ろくに話をしなかった時期があり、当時は「パパ」と呼ぶのも嫌で「ハゲ」と呼んでいた。呼ぶたびに胸が痛くて、それを克服しようとしてもっと連呼し、おおらかなお父さんを傷つけ続けた時期もあったという。
その理由をアヤ…
2021/5/1
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ぼくをくるむ人生から、にげないでみた1年の記録 / 感想・レビュー
しゅんぺい(笑)
ここまで生活にあったささいなことを文章に変えていけると、もはや書くのが楽しみになったりすんのかなあと思ったりしたけど、いやでもやっぱり創造することって苦しみがつきまとうよなあと思い直したりした。でもとにかく文章力に目を見張る。おもしろかった。
2021/07/23
Mr.Gay
マイノリティが誰かと生きていく。この狭い小さな世界で、対峙すべき社会や観念に目を向けてそこに抗っていく。その大変さとだからこそ得られる感情が文字を超えた何かとして入ってきます。身を纏う鱗のようなものがポロポロと剥がれる、あの軽くなる感覚を実体験の中でゆっくり切なく温かく描いてくれています。 再生なのか受容なのか成長なのか。一気読みしたくなるのに感情が刺さる度に立ち止まってしまう一冊です。 自分は自分でいいんだろうなって、優しく背中を押してもらえました。思い出したい感情が多く、本棚に置いておこうと思います。
2021/03/27
ずー
ひらがなが多くふわふわした優しい文体ながら、日常をとりまく「正しい社会」の中で無いことにされていること(筆者たちのような同性カップルのことだけでなくて、例えば子育てしているお母さんとかも)に対する怒りに満ちた文章だった。正しい社会の象徴としての都庁ビルのくだり、オリンピックのスローガンに対してきも、と思うくだりなど、そうだよね…本当にね…と頷きながら読んだ
2021/04/29
三鷹台のすずめたち
橋本治先生のようだ・・・。
2023/06/20
TS
私も同じ地獄にいた。
2023/05/31
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