谷口ジローコレクション6『坊っちゃん』の時代
「谷口ジローコレクション6『坊っちゃん』の時代」のおすすめレビュー
『孤独のグルメ』の谷口ジロー本格選集が“雑誌サイズ”で登場! 気になる内容とは?
『谷口ジローコレクション「坊っちゃん」の時代』(双葉社)
東京・世田谷文学館で「描くひと 谷口ジロー展」(2022年2月27日迄)が開催されている。この展覧会に合わせ、双葉社と小学館が合同出版というかたちで谷口ジロー選集を刊行する。双葉社から5冊、小学館から5冊の計10作品が、毎月2冊ずつ5カ月間にわたって発売されるという一風変わった試みだ。その第1回配本として、『谷口ジローコレクション「坊っちゃん」の時代』(双葉社)と『谷口ジローコレクション 父の暦』(小学館)が同時発売された。
テレビドラマ化された『孤独のグルメ』(原作:久住昌之)や『歩くひと』がきっかけで谷口ジロー作品を手に取ったという人も少なくないだろう。日本ではドラマの知名度が先行している感もあるが、むしろ谷口ジローはヨーロッパで絶大な知名度を誇っている。
1995年に『歩くひと』がフランスで発売されて以来、谷口ジローはヨーロッパで注目を集め、フランス語版『遥かな町へ』は100万部を超え、舞台化・映画化までされた。日本のマンガ文化の成熟を象徴する作家として高く評価され、フランス芸術文化…
2021/11/17
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谷口ジローコレクション6『坊っちゃん』の時代 / 感想・レビュー
ぐうぐう
「谷口ジローコレクション」で再読する『『坊っちゃん』の時代』第一部。雑誌初出時と同じサイズでの刊行というのが嬉しい。いわゆる記号的な漫画から離れることを意図した谷口の画は、結果として単純な喜怒哀楽ではない複雑で微妙な感情をキャラクター達が滲み出し、放つという高度な技術を得るに至ったという点において、谷口ジローのターニングポイントとなった作品であり、同時に日本漫画史に残る名作ともなった。再読にあたって、谷口の画の凄みに隠れがちになってしまう関川夏央の原作の巧みさに改めて感心させられた。(つづく)
2021/11/03
こうすけ
国内の知名度に比べ、ヨーロッパの漫画家たちからは鳥山明や大友克洋と並び称せられている谷口ジロー。彼が、夏目漱石が坊っちゃんを構想し書きあげるまでを描いた作品。フィクションを絡めて、森鴎外や平塚らいてう、安重根などが出てくる。ベタベタしていない、乾いたユーモアがあり渋い。小津映画のよう。夏目漱石、森鴎外、島崎藤村、国木田独歩と聞いてピンと来る人は楽しめるはず。
2022/04/16
テイネハイランド
図書館本。このコレクションシリーズは、B5版サイズなので谷口ジロー氏の絵を堪能できていいですね。漱石が主要登場人物なので、マンガの中には結構飼い猫も出てきますし。一方、関川夏央氏が担当したマンガのストーリーですが、実在の人物を使ってそこに大胆にフィクションの要素をからめていくという歴史小説の形式をとっていますが、私の場合どこまでその当時の時代の空気感を再現できているのか今一つ気になって、心の底から楽しめたという感じではありませんでした。
2022/04/14
アメヲトコ
87年連載、21年コレクション版。関川夏央+谷口ジローのタッグによる大河物で、夏目漱石を中心に明治という時代を描いた名作です。第1部は『坊ちゃん』が生み出される過程をテーマにしたもの。実在の歴史上の人物と架空の人物の絡ませ方が絶妙で、とりわけ坊ちゃんのモデルとされた太田仲三郎などは本当にいたかと思うほど(ググると何とWebcat Plusに略歴まで載っている!)。
2022/08/23
go
満足感凄い。漫画の良い点で、明治の雰囲気がわかりやすく入ってくる。漱石は新時代に疎外感を持っていたのか、とか「坊っちゃん」というのは敗者の物語だったのかとか面白い発見があった。そんな漱石が国民作家である日本人の国民性とは。
2023/01/28
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