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殺人症候群〈新装版〉 (双葉文庫)

殺人症候群〈新装版〉 (双葉文庫)

殺人症候群〈新装版〉 (双葉文庫)

作家
貫井徳郎
出版社
双葉社
発売日
2014-12-11
ISBN
9784575517392
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殺人症候群〈新装版〉 (双葉文庫) / 感想・レビュー

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みも

こういう述べ方は不遜だと重々承知の上で言えば、本作の完成度の高さには著者の飛躍的成長を認知できる。大傑作である。文庫700頁の超大作で、その長大さは必然であり冗長さは微塵もない。解説にも触れられており三部作の最終作との事だが、シリーズ初読みの僕でも全く違和感なく堪能出来た。あたかも群像劇のように、4つの視点で章ごとに変遷を繰り返す作法で、全ての人物の個性が確固としており骨格も堅固。テーマは報復殺人の是非。法治国家では当然許されざる独善的な行為だが、その確信が揺らぐほどの苛烈な鬼畜的犯罪描写に身が竦む思い。

2020/05/19

ハッシー

★★★★★ 症候群シリーズ3作目にして、最高傑作!2作目の「誘拐症候群」で初めて貫井徳郎を知り、その面白さに衝撃を受け、著者の本をその後何冊も読んできたが、この作品は断トツで一番だと思う。犯罪被害者による報復殺人は赦されるのかという重い命題に負けない、骨太で読み応えのあるストーリー。思わず二度見をしてしまうトリックなど、長編大作にもかかわらず、読むのがまったく苦にならないほどの面白さ。オススメ。

2018/11/01

まこみん

偶然、直前に読んだ「プラージュ」が元犯人側の視点で問題提起されたものだったのに対し、こちらの大長編は被害者や遺族側からの癒される事のない立場を描く。環の依頼内容を断り単独行動する倉持。今回は読むうちにいつの間にか職業殺人側に心を寄せてしまい、環チームに捕まらない事を願ってしまっていた。無邪気な子供の病死や、後半のかなり凄惨な描写に胸が痛む。法で裁き切れずに再犯を繰り返す人物、この話を読むと殺されても当然の様に思えてしまう。結局犯罪者と被害者は、弱者にも強者にもなり得る。人間として生きる哀しみ苦しみ。

2018/06/09

NADIA

自分の大切な人が殺害され、その犯人が未成年ということで大した咎めも受けずに全く反省もせずに元の社会に戻ってきたら、彼らへの復讐を考えずにその後の人生を過ごすことができるだろうか。法というものがあることは分かっていても、悪を懲らしめる存在に頼りたくなるだろう。その瞬間に犯人と同じところに堕ちると分かっていても・・・。その「正義の殺し屋」を追う環率いる警視庁の特殊チーム。 貫井徳郎の「症候群」シリーズ最終作にふさわしい大作。余談だが、環さんの正義感は「相棒」の杉下右京に通じるものを感じる。

2018/03/27

セウテス

【症候群シリーズ】第3弾。初作品で大江戸捜査網と書いたが、今作は必殺仕置人を、どう捕らえるか。しかし本作は単なる恨みではなく、未成年や精神疾患により自らの犯した殺人の罰から、法律で護られる者たちに対する怒りや哀しみの問題を描いている。エンターテイメントとしては面白いのですが、考える事の多い物語です。大切なのは、殺人を犯した未成年の責任をどこまで求めるべきかと、現行の法律による被害者側の救済とのバランスが、全く取れていないという現状の認識だと思う。幾つかの謎が解け、それでも何かを残すのは、作者の特徴だろう。

2023/02/12

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