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幻霙 (双葉文庫)

幻霙 (双葉文庫)

幻霙 (双葉文庫)

作家
斉木香津
出版社
双葉社
発売日
2018-02-14
ISBN
9784575520811
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幻霙 (双葉文庫) / 感想・レビュー

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アッシュ姉

無差別殺傷事件の犯人と似ていると彼女に言われた主人公。身長や顔立ちの違う犯人と自分のどこが似ているのか、類似点を執拗に探す蒼太に、桃里は不安と後悔を隠せない。次第に浮かび上がる闇の濃さと日雇い派遣で食い繋ぐ生活の辛さが相まって、どんよりした暗さに襲われる。目新しさはないが、そうきたかという展開が待ち受けていて、抱いていた違和感が氷解する。読後感はスッキリとはいかず、どよよん。日雇いバイトとはいえ働いているのにヒモメン。稼いだ金の行方ばかり気になってしまった。

2018/07/31

ジンベエ親分

斉木香津は「凍花」が良かったので、書店で見つけて迷わず購入。日雇いのバイトで暮らす若い同棲カップルの話が、桃里の視点からと蒼太の視点からそれぞれPinkとBlueという章タイトルで語られる。ある朝、桃里がテレビで報道されている無差別殺傷事件の犯人に蒼太が似ている、と言うのが物語の起点。一見、カップルの平和な日常の話のように見えて、蒼太のバイト先の人間関係、毒親の記憶、桃里に指摘された犯人への執着、それらが徐々に炙り出されてくることに桃里がほぼ気づかないのが嫌~な感じを増幅させる。ラストは凍りついた。秀作。

2019/01/05

えみ

偽りによって生まれた悲劇の犠牲者は、間違いなく偽りを信じ込んでいた相手だろう。しかし一番の被害者というのならば偽りを信じさせていた本人である。彼に起こった事柄すべてが幻影であったのならば全く違った未来を感じるとることができたかもしれない…肉体的に無傷でも、精神的にはとっくに殺されていた。死人が自分の死に気づかずに、生者と変わらずこの世に彷徨っているから狂っているように見えているのだ。そう彼はもうとっくに…。逃げ場のない空間でいつ飛び出すかもわからない気まぐれな攻撃に耐える日々は何を生んで何を滅したか知る。

2023/09/16

カムイ

初読みの作家。イヤミスなのだろう❗️嫌いではないが終わり方が呆気なかった、其でも蒼太の歪んでいく過程はドキドキした。取り扱った題材は手垢の付いたものばかりであるがライトなミステリーとしたら良い出来でした。

2022/03/27

ざるこ

同棲している桃里の「蒼太と無差別殺傷事件を起こした犯人が似ている」という一言から始まり章ごとにBlueが蒼太、Pinkが桃里パートで展開していく。その日暮らし的な生活ながらも幸せそうな日常が、蒼太の子供時代の回想と共に崩れ始める…。それぞれの視点で語られるので不満が募っていく過程がよく分かり、その後爆発するだろうことを予感させる。父親の無関心、母親の異常行動が深い傷を残し、あがいても救われず諦めていく心に苦しくなってくる。トラウマからは一生逃れられないのか…。最後の章はBlacck…「闇」を感じた。

2018/11/11

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