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落花狼藉 (双葉文庫)

落花狼藉 (双葉文庫)

落花狼藉 (双葉文庫)

作家
朝井まかて
出版社
双葉社
発売日
2022-08-04
ISBN
9784575525908
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「落花狼藉 (双葉文庫)」のおすすめレビュー

「吉原は造り物の世界。虚実を取り混ぜてお見せする、夢の世界」江戸幕府公認の遊郭・吉原の黎明を描く! 朝井まかて氏『落花狼藉』

『落花狼藉』(朝井まかて/双葉社)

 吉原を舞台にした小説というと、遊女たちの悲しき恋の物語が連想されがちだが、朝井まかて氏の『落花狼藉』(双葉社)は、吉原創建の中心人物となった庄司甚右衛門の妻であり、傾城屋すなわち遊女屋の女将である花仍(かよ)の物語。

 女将とはいえ、歳は23。子どものころ、迷子とも捨子とも判然としない状態で城下町を一人さまよっていたところを、当時、遊女屋を兼ねた宿屋を営んでいた甚右衛門に拾われたのだが、顔立ちは人並みでも骨太で色黒の見た目はとても売り物にはならない。さらに口をきいたらむやみに勝ち気で、わめき暴れて悪態をついてばかり。大人になってからも「鬼花仍だけは勘弁してくれ」と泣いて拒絶されるほど嫁の貰い手がなく、周囲も手を焼いていたのだが、そんな彼女を再び拾うように娶ったのが甚右衛門だった。経験も貫禄もないから誰も女将さんとは呼んでくれず、かろうじて姐さんと呼ばれながら奮闘している彼女の視点で、吉原の成り立ちとそこに暮らす人々の姿が描かれていく。

 外道商い、という言葉がたびたび本作には登場する。お上の都合で転々と引っ越しば…

2022/8/31

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落花狼藉 (双葉文庫) / 感想・レビュー

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のり

幕府から公認の傾城町(吉原)を勝ち取った「甚右衛門」と女将の「花仍」。女将としては半人前だったが、店の切り盛りや遊女達の世話、幕府からの難癖めいた仕置に対して、懸命に立ち向かった。世間からは亡八と呼ばれ、冷たい目を向けられたが、江戸を支えた文化を築き上げたのも確かだ。初代からの信念を貫く「西田屋」。天晴であった。

2023/01/05

じいじ

天下分け目の関ヶ原の合戦から十数年、家康が都を江戸に移した。男が遷都で動けば、女も黙っていません。「吉原誕生」に奔走する姿、その隆盛秘話が綴られた物語。これまで𠮷原を題材にした本は何冊も読んできたが、今作は取材が緻密で読み応えがあり面白かった。「廓・吉原」の表側だけでなく、そこで働く女たちの舞台裏の姿が、丁寧に描かれています。江戸幕府から吉原の店店に「売色御免」の御墨付けが出たのをきっかけに、東西の女たちの戦いに、さらに拍車がかかるも見どころの一つです。ゆっくり味わいながら、読み返したい一冊である。

2022/08/11

優希

面白かったです。知っているようで知らない吉原の姿を見たようでした。吉原は江戸の遊郭だっただけに扱いにくい題材だったのでしょうか。思えば遊女関連を軸にしたものはこれが初めてだったかもしれません。江戸の遊び文化が興味深かったです。

2022/09/05

sin

傾城町吉原の若い女将が遊女を連れた参詣の帰りに女歌舞伎に行く手を阻まれての大立回りからの破天荒な女の一代記と…そうした趣向の物語かと早合点したが、どっこいそんな軽々しい話ではない。江戸の初め吉原を売色御免の町とお上からのお墨付きを受け、亡八を自認しながらも自らの信念を貫いた男の業績“吉原”の成り立ちをその女房の視点から語り上げた物語だ。いうなれば近年ではあの鬼滅で女性の性が商品であることが物議を醸した遊郭が主役だと云える。その生業の倫理的な側面は別として江戸文化の一翼を担った場所であることは否めない。

2023/03/22

ゴルフ72

まさに吉原ここに始まる。その意味が全編を通してひしひしと感じる。いつも時代物を読むたびに私の心はタイムスリップしてしまう。今回もそうだった・・・花仍の目を通してタイムスリップしてしまった。吉原黎明期から真の吉原となるまでを・・・一気に読んでしまった。

2022/08/30

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