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この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

作家
こうの史代
出版社
双葉社
発売日
2009-04-28
ISBN
9784575942231
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「この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)」のおすすめレビュー

映像を見たあとだからこそ味わえる! 『この世界の片隅に』「海苔を干すシーン」に見る“マンガ的表現”

 人はどんなときでも食べて働いて眠り、生きていく。そんな日々の中で誰かを好きになり、愛おしく感じる。たとえそれが「戦争」という非常時だったとしても――

 ドイツ・ポーランド不可侵条約が締結された昭和9(1934)年1月から(条約は1939年に破棄されてドイツはポーランドへと侵攻、これが第二次世界大戦の発端となった)、昭和天皇が詔書でいわゆる「人間宣言」をした昭和21(1946)年1月という時代を舞台に、よく「人からぼうっとしている」と言われ、絵を描くことが得意なすずを主人公とした『この世界の片隅に』(こうの史代/双葉社)。広島・江波の海苔養殖を営む家に生まれ育ち、呉にある北條家の長男・周作のもとへ嫁いだすずが、日々を生きる姿を描く作品だ。

 本作は『漫画アクション』に2007年から2009年まで連載され、2011年に北川景子主演でスペシャルドラマ化された。2016年には片渕須直監督によってアニメーション映画となり大ヒットを記録、映画はロングランを続けており、2018年12月には新たな約30分の場面を追加した『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』の…

2018/8/20

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「早速涙が…」 ドラマ「この世界の片隅に」第1話放送で感動する視聴者続出!

『この世界の片隅に』下巻(こうの史代/双葉社)

 2018年7月15日(日)に、ドラマ「この世界の片隅に」第1話が放送された。初回放送を見た視聴者からは、「原作も映画も大事にするような制作側の熱が伝わってくる!」「1話から早速涙してしまった」と話題になっている。  こうの史代の漫画を原作とした同ドラマは、戦時中の広島県を舞台に松本穂香が演じる主人公・浦野すずの半生を描いた作品。昭和9年のある日に少女・すず(新井美羽)は、お使いの帰りがけに川原で絵を描いていたところを人攫いに捕まってしまう。しかし、先に捕まっていた少年・北條周作(浅川大治)の機転で無事逃げ出すことに成功。自宅に帰りついたすずは、その出来事を夢のように思い出していた。  時は過ぎ昭和18年秋。祖母・森田イト(宮本信子)の家で手伝いをしていたすずのもとに“すずを嫁に欲しい”という人が来ていると連絡が入る。事情がわからないまま自宅へと急ぐすずは、道すがらで幼なじみ・水原哲(村上虹郎)と遭遇。哲が“嫁に欲しい相手の人”だと勝手に思っていたすずは、哲から法事に帰ってきただけと聞かされさらに混…

2018/7/21

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こうの史代「毎週見守りたいです!」『この世界の片隅に』連ドラ化に大反響

『この世界の片隅に』上巻(こうの史代/双葉社)

 こうの史代『この世界の片隅に』がテレビドラマ化されることが決定。アニメ映画で話題になった同作が連続ドラマになるとあって、世間からは「びっくりしたしめっちゃ楽しみ」「すずは誰が演じるんだろう!」と注目を集めている。

 同作は太平洋戦争の真っ只中である広島を舞台に、平凡に生きるごく普通の女性・すずの人生を描いた物語。2016年には片渕須直監督によってアニメ映画が製作され、「言葉にならないくらい深い感動を味わった」「戦争の悲惨さだけでなくその中の日常が丁寧に描かれている」「どんな苦労をしても前向きに生きようとするすずさんに生きる大切さを学んだ」と、絶賛の声が後を絶たない大ヒット作品となった。

 ドラマ化の情報は2018年3月20日(火)発売の『漫画アクション』7号で発表され、誌上にはこうのからのコメントも掲載。こうのは「連続ドラマは、連載漫画ととても近い形の映像化だと思います」「すず達の日々を、皆さんと一緒に笑ったり泣いたりしながら毎週見守りたいです!」と読者にメッセージを送っている。

 アニメ映画ではすず…

2018/3/30

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この世界の片隅に 下 (アクションコミックス) / 感想・レビュー

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海猫

この作品を抑制のきいた表現が素晴らしいと思って読んできたが、下巻になるとその抑制を振り切って叫んでいるかのような描写が多々あり、畏怖する。一方で冷静に提示する表現がどっしりとあるのが深みと言えよう。全編読み通しはしたが、一度で消化できたとはとても思えずまた何度となく読み返したい。

2016/11/17

bookkeeper

★★★★★ 下巻は感想が一番書きにくい。見舞いに行くシーンに差し掛かると辛い。お見舞いに行かなければ、晴美さんにねだられてあちらに行かなければ、それとも塀の割れ目に飛び込んでいたら…。 可愛い絵柄とほんわかした雰囲気ながら、とても深い伏線や技巧を凝らしていることが分かってきて、この感想で良いのか、と思ってしまう。特に最後の「しあはせの手紙」。 でもきっとすずさんも作者さんも、難しく考えなくてもいいよと言ってくれそうな。最後に歪んでいた世界が、ぱぁっと色彩と輝きを取り戻せて、すずさん、良かったね。

2018/04/15

またおやぢ

再読。「夕凪の街 桜の国」の読了後にも思ったのだが、こうの史代さんの作品には歌を感じる。それも柔らかく、静かで、それでいて熱のこもった人間に対する尊重と優しさを伝える歌。映画はまだ見ていないが...もう一度読み直してから観に行くことにしましょうかね。はい。

2016/12/01

えちぜんや よーた

すずが突っ伏して大粒の涙を流したシーン。それが「この世界の片隅に」自分の居場所を見つけられたきっかけだった思う。「銃後の守り」のお手本だったすずが、本当の思いをさらけ出す。居場所を見つけてもらったのではなく、自分で見つけた。戦時中の話だったけど、これはいかなるテーマにも当てはまる。家族との別離、身内の不幸、病気、リストラ、いじめなど数えだしたらキリがないほど、現代社会は不安だらけ。北條家は「普通でない人」の集まりだけど、それでも自分の居場所は必ずある。だからこそ世代を超えて支持を集められたんだと思う。

2017/01/17

しいたけ

「あんたが生きとってよかった言われるが どこがどう良かったんかうちにはさっぱり判らん 歪んどる」失くした右手。左手で描く世界は歪んでる。拙い手を使い涙を押し込めて、すずは、日本人は、この世界をまた実直に描いてきた。自分がなぜ生き残ったのかわからないという。ただ「もう会えん人が居ってものがあって うちしか持っとらんそれの記憶がある」「うちはその記憶の器としてこの世界に在り続ける」大袈裟なのは承知している。それでも日々に小さな戦いがある。負けるわけにはいかない。器の私が輝くことで、光が当たる大切な記憶がある。

2017/01/11

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