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きみが住む星

きみが住む星

きみが住む星

作家
池澤夏樹
Ernst Haas
エルンスト・ハース
出版社
文化出版局
発売日
1992-10-01
ISBN
9784579303403
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きみが住む星 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

エルンスト・ハースの写真と池澤夏樹の文章がコラボレーション風に、交互に配されている。思うに、池澤がハースの写真をまず選び、それを絵葉書に見立てて、「きみ」への便りというスタイルで文章を仕立てていったのではないだろうか。全体は「この星」すなわち地球讃歌であり、そこに暮らす人間讃歌といったもの。「ぼくたちはみんなピカピカの傷一つないガラスを心の窓に嵌めて生まれてくる」などと、その表現はちょっと恥ずかしくなるくらい過剰なセンチメンタリズムに溢れている。まあ、散文詩のようだと言って言えなくもないのだが。

2015/10/31

やすらぎ🍀

あなたのいない星からあなたのいる星へ。光の道に沿ってぼくは馬を走らせる。遥か遠くのその星へ。雨が降れば途切れてしまうその空へ。…花に見とれて転ぶなんて、きみらしいね。雨が降ったから、世界がキラキラして綺麗だったんだろう。日に日に美しくなっている。寒くなるとどうも切なくなる。空は澄んでいるけどね。雲の形の中に一瞬、きみの笑顔を見たような気がした。手が届きそうだった。そちらは暖かいかな。空の色を教えてほしい。…どんなに遠くに行ったって、ぼくの思いは消えないみたい。バイバイ。帰りたい。バイバイ。早く会いたいよ。

2021/11/22

ロバート・キャパに認められ、色彩の魔術師と言われたエルンスト・ハースの写真に、池澤氏が旅先から「きみ」に宛てた手紙という設定のもと展開されていく1冊。中でも特に「向こう側へ行く人たち」の断崖絶壁の写真には声が出た。欲を言えば光沢のある紙質で見たかったけど、素朴さとやさしさのある文体にはピッタリだったかもしれない。遠く離れてみると気づくことや、距離があるからこそ美化してしまう部分、せつなさ淋しさが滲み出ていた。でもそれぞれの文末の「バイバイ」がなんだか乾いていて、甘くなり過ぎないのが心地良かった。

2014/07/28

❁かな❁

お気に入りさんの感想から読みました!とってもとっても良かったです☆お気に入り♡エルンスト・ルースさんの写真と池澤夏樹さんの文のコラボ。彼女に宛てたお手紙と写真が綴られています。最初のお手紙から彼女への想いが伝わってきて感動して泣いてしまいました。どのお手紙にも彼女への優しさが溢れ遠く離れて会えないけど本当に彼女の事が大好きなのがよく伝わり結局ずっと涙してしまいました☆お手紙の最後にいつも「バイバイ」って書かれているのですがその言葉もすごく効いていました♪『この星が好きだと思った。きみが住む星だから。』

2014/09/12

masa@レビューお休み中

ずっと読みたいと思っていた本に出逢うことができた。古本屋で、装丁を見た瞬間すぐに気付いた。出逢ってしまったのだ。写真と手紙が交互に現れてくる。それは、ぼくがきみに宛てた手紙である。世界各国を旅するぼくが、離れて住むきみに送る手紙。愛のこもったラブレターに違いないのだが、そこには愛してるの言葉は存在しない。それなのに、揺るがない愛を感じる。些細な日常も、近況報告も、風変わりな出来事も不思議と柔らかで優しい愛の光景となってしまう。信じる想いの強さが、最大の愛の言葉なのかもしれない。

2017/10/22

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