読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

幕間 (平凡社ライブラリー)

幕間 (平凡社ライブラリー)

幕間 (平凡社ライブラリー)

作家
ヴァージニア・ウルフ
片山 亜紀
出版社
平凡社
発売日
2020-02-11
ISBN
9784582768978
amazonで購入する Kindle版を購入する

幕間 (平凡社ライブラリー) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

アキ

昨夜高橋源一郎の飛ぶ教室で紹介されていたヴァージニア・ウルフ。平凡社から今年新訳で出版された彼女の遺作を読む。1939年6月のある一昼夜のイギリスが舞台。イングランドの文学の歴史を感じさせるようなシェイクスピアの引用や詩のオマージュ、劇のセリフと観客であるオリヴァー家の人間模様が相まって混然とした世界を見せている。あくまで人間描写にこだわった小説。世界中に植民地を持つ大英帝国最後の時期、大陸での戦争の足音が聞こえつつある時代の雰囲気がこの小説にも影を落としているように思える。自分には高尚すぎて心に響かず。

2020/05/23

miaou_u

美しい箱庭に閉じ込められた人間模様を物憂に見つめるかの如く描かれた幕間は、それ自体が虚しい人間劇場に思える。そこにある自然の不変に相対する愚かで退屈な反復の音。移り気な空は心理の象徴として。軍靴の時代の音は荒波の前触れとして。静かに、濁った漣は侵食してゆく。どれほど時代が形を変えて移り変わろうとも、繰り返し打ち寄せる漣。私たちも、もしかすると、ずっとそんな箱庭の中の操り人形なのかもしれない。変化の幕は、突然、斬って落とされる。

2021/02/22

まこ

戦争が起こる少し前でも日常は存在する。その中に貴族的なものがあり、作中芝居でルーツとなるイギリスの歴史を描くが、最終章が滅茶苦茶。その後の戦争で貴族の価値が下がるのを1941年没の作者は感づいていたのだろうか。作中にゲイとレズビアンの登場人物が出てくるものの解説を読まないとわからないが、知っていると当人たちの言動に理由が生まれる。上記に挙げたことだけでなく主人公ポジのジャイルズ夫妻の今後もうやむや。少ない手がかりから正解や自分なりの解釈を見つけていく作品でした。

2020/03/21

ケイトKATE

1939年6月、イギリスのとある田舎の邸宅の庭で行われた野外劇の一日が描かれている。一見すると物語は大した波乱もなく平穏な出来事に思えるが、物語の3ヶ月後に始まる戦争の不安が各所に語られている。ウルフは『幕間』を書き上げた後に自ら命を絶つのだが、本書を遺書として書いたのだろうか?平和な日は戻ることはなく絶望を感じながら。物語の終盤に登場する「今年、去年、来年、もうない……」という言葉が心に重く響く。

2020/02/19

ムチコ

ウルフの遺作。1939年6月、英国内奥部のオリヴァー屋敷で行われる野外劇。第二次大戦前夜のそこはかとない不穏と6月の田園地区の昼から夜、野外劇でメロドラマの形であらわされる英国の歴史と登場人物の思惑、それらがゆるく重なり合う。やがて日が落ちたのち、暗がりの中で女性劇作家と登場人物のカップルがそれぞれに見据えようとするものは力強い。ウルフは大切な人が死んだあとの世界を描くイメージだが本作ではみんな生きてるのがちょっと意外。豊富な訳注と謙虚な訳者解説に理解を助けられた、というか訳注がないとさっぱりだったかも。

2020/04/20

感想・レビューをもっと見る