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少年愛文学選 (917) (平凡社ライブラリー お 30-1)

少年愛文学選 (917) (平凡社ライブラリー お 30-1)

少年愛文学選 (917) (平凡社ライブラリー お 30-1)

作家
折口信夫、稲垣足穂ほか
高原英理
出版社
平凡社
発売日
2021-04-26
ISBN
9784582769173
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少年愛文学選 (917) (平凡社ライブラリー お 30-1) / 感想・レビュー

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HANA

人生のほんの一時期しかない、流星の光芒にも似た少年時代を描くには文章もまた珠を溶かしたようなものでなければならぬ。その点本書は収録された作者から言っても満点に近い。山崎俊夫の文章の中に珠を溶かし込んだような耽美さに倉田啓明の夜の闇を塗り込んだような作風、そして足穂の六甲の上に広がる青空のような作品と、もうこの三者の作品が読めるだけでも満足。既読の作品も多いが、既読未読関係なく読むたびにその文章に酔いそうになるな。人生の発展途上にありながらもどこかタナトスを感じる少年期、それを見事に描いた作品ばかりでした。

2021/09/01

❁Lei❁

大人になる前の、同性との友だち以上の関係……。少年たちの透き通るような無邪気な愛が、どうしてこうも儚いものか。その理由が家父長制への抗いや大人になるための通過儀礼であるという分析には思わず唸りました。刹那的な美しさが結晶のように凝集した作品です。

2023/02/07

ふくしんづけ

ほとんどの作品がよかった。なかでもよかったのは、山崎、折口、埜太郎、拓次、槐多、川端、春日井、高原あたりか。槐多の詩句だが〈君がそれを憎みそれを厭ふ事はこの怪物にとつて何等の痛みはない〉ふふと思う。〈美を吸ひ〉とる対象であるが故、〈君の美を追求〉する対象であるが故に。醜く蔑まれることが自己の防壁となってしまう哀愁故に。全体的に、植物の印象が強い。山崎『夕化粧』より〈梔子の花も逝いて、合歓の葉が眠るころ〉と時が表されるように。

2022/03/08

ハルト

読了:◎ 主に明治終わりから昭和半ばまでの、少年愛を題材とする文学が取り上げられている。選ばれているのも、折口信夫・江戸川乱歩・武者小路実篤・堀辰雄・稲垣足穂・川端康成・中井英夫等、多く名を知っている作者が選ばれている。思春期が始まる前までの、男とも少年ともつかない期間の、肉体的・精神的に現れるたゆたい、少年の美を賛歌している。一時期の美である少年愛の儚さ脆さ。そして死の匂い。純粋でありながら、どこかほの昏さを感じる愛の成り行きに、精神的プラトニックであればこその美学を感じる。

2021/06/24

しょうゆ

BLでも男色でもなく少年愛。昭和の作家たちが男色と少年愛を明らかに分けて考えていたのは興味深い。家父長的暴力、マッチョに対するアンチテーゼという解説もわかりやすくて良かったです。少年の描写が美しいが、耽美ではなく儚げ。「燃ゆる頰」「少年(抄)」「夕映少年」「贖」が特に好きです。

2022/02/28

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