芸能人と文学賞 〈文豪アイドル〉芥川から〈文藝芸人〉又吉へ
芸能人と文学賞 〈文豪アイドル〉芥川から〈文藝芸人〉又吉へ / 感想・レビュー
そうたそ
★★★☆☆ 記憶に新しい又吉の芥川賞受賞。芸能人から作家へ、作家から芸能人へ。その繋がりを支えるかのような文学賞について、その関係性について繙いていく一作。芸能人作家ってこんなにいたんだ、という驚きがまずひとつであるが、ほとんど知らなかった。青島幸男とか石原慎太郎とか、その辺りの極有名な人物は知らず、芸能人作家といえど大半は忘れ去られていった人物なのだなあ、と。あくまで「紹介」的な役割に終始している一冊なので、作者自身の考えが書かれていることに期待すると、肩透かしを喰らうだろう。
2017/11/21
くさてる
これまでに文学賞の候補に上げられた人々を取り囲んだお祭り騒ぎと浮き沈み、どったんばったんの大騒ぎを当時の記事を多く引用して語っていて、わたしのようなミーハー文学好きにはゴシップ盛りだくさんで楽しい本だった。ブロガーの本だけあって文体も軽くて読みやすいです。賞や小説そのものについての解説や文学的価値を語るような本ではないのでそこはご注意を。
2017/10/22
緋莢
図書館本。2015年7月。第153回芥川龍之介賞を又吉直樹が『火花』で受賞して大きな話題になりましたが、芥川賞、直木賞などの文学賞と芸能人の〝関係”は意外にも昔からあって、俳優・女優など芸能人が小説を書けば大体、「目指せ直木賞(芥川賞)」、「直木賞(芥川賞)を取るか!?」と言われていたそうです。「文芸の外の人が2作目なのに上手に書けているというイロモノ扱いのままで審査された作品と僅差だった」と、山本周五郎賞を受賞した際に湊かなえが、候補作となった押切もえの作品にそう言ったらしいのですが(続く
2018/01/07
まさむね
芸能人や有名人が小説を書くと、すぐに「目指すは芥川賞、直木賞」みたいにマスコミが騒ぎ出す……のは、なにも又吉直樹に始まったことではなく、ずっと昔から延々続いてきたある種の伝統である、という趣旨の本。徹底的に調べてカテゴリー別に纏め上げており、ああ、あの人も小説書いてたなあ、この人はもう作家の方が知名度高いよなあ、とかいろいろ思い出しながら読んだ。「直木賞のすべて」の管理人さんだけあって、直木賞のみならず文学賞全体へのシニカルな視点と文章にはニヤニヤしてしまった。最高です。
2017/08/04
ライムとザクロ
【17-161】いつもたいへんお世話になっております、な川口さんの最新刊。今冬発表の直木賞候補でタイムリーなテーマとなりました。最近話題になった又吉さん、押切さん(というより湊さん)の話は終盤ちょろっと触れられるだけで、メインは80年代やそれ以前の個人的には歴史的な話。阿久悠やつかこうへいが候補になった回などは知っていても、それ以前はそもそも芸能人と認識していなかった話も多く、加えて引用元の多さに見える資料調べの痕跡に舌を巻く。川口さんの研究成果に触れられる機会がこれからもありますように。
2017/12/08
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