ねずみの騎士デスペローの物語
ねずみの騎士デスペローの物語 / 感想・レビュー
けろりん
暗く沈みこみそうな心を抱えて蹲る孤独な人の耳もとでささやくような、この物語が書き進められていたのは、2000年。本国アメリカで上梓されたのが2003年。翌年、本書はニューベリー賞に輝きました。お城に住むハツカネズミ一家の最後の赤ん坊は、とても小さい体に大きすぎる耳。生まれた時から目をぱっちりと見開いている、変わった子でした。食べ物を探すよりも、光や、音楽、お話を好む、小さな騎士の愛と勇気が剣となって、裏切り、憎悪、偏見が渦巻く闇を切り裂き、許しと理解の光を呼び込みます。辛いけれど、希望をくれる物語でした。
2021/03/07
小夜風
【図書館】「愛をみつけたうさぎ」のケイト・ディカミロさんの紡ぐ、小さなハツカネズミの壮大な物語。「愛をみつけたうさぎ」も読んでいて辛かったのですが、こちらも心に突き刺さるようなお話でした。ハツカネズミにとって本はかじるものなんですね。でもデスペローはお話を読むことに喜びを見出だして……。何度も出てくる「むかしむかし、あるところに」が、最後の「物語は光だ」に繋がる時、涙がこぼれました。誇り高く生きていきたいですね。
2015/09/04
り こ む ん
読友さんからの拝借本。小さいけれど勇敢なハツカネズミの物語。勧善懲悪で無いところが良かったな(^^)ところどころ、言葉に付いての説明があるのが、なるほどな。など思ったり、心に射し込む言葉、香り、光の大切さを教えてくれる優しい本だった。
2014/05/14
花林糖
(図書館本)小さな小さなデスペロー、体は小さいけれど勇気があって本物の騎士ですね。装丁と挿絵が素敵。スープが飲みたくなりました。
2015/08/13
小川香織
★★★文章はあたたかでやさしい平易な語り口調で親しみがもてます。原作が醸しだしている雰囲気をくみとり、ダークな趣きは少し抑えていますが、それを日本語の語彙や文章そのものに滲ませている。童話の伝統的な「神の視点」や「全知の語り手」の手法が読者をおとぎの世界へと誘います。個人的には、闇の世界にも光の世界にも身の置き所をなくしたドブネズミの姿が、なんとも哀れで、深く印象に残りました。2004年ニューベリー賞受賞。
2015/12/19
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