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([に]1-1)ゆれる (ポプラ文庫)

([に]1-1)ゆれる (ポプラ文庫)

([に]1-1)ゆれる (ポプラ文庫)

作家
西川美和
出版社
ポプラ社
発売日
2008-07-31
ISBN
9784591104347
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([に]1-1)ゆれる (ポプラ文庫) / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

家業は子が引き継ぐもの、思考停止の呪縛、寂れた世界から逃げた弟、代わりに残らざるを得なかった兄。その親世代にも同じ事情、確執があり、皮肉にもそして偶然にも彼らが法廷に集う。公判前の打ち合わせを覆した被告、筋書きにない芝居を始める突然の展開。被告人も証人も弁護士も傍聴席もみな親族、被害者は幼馴染。なんとも狭い世界だ。少ない登場人物で古典的な悲劇が描かれる。嘘・恨み・妬み・悪意・裏切り・痴情、動機はいつも大体そのどれかだ。物語が法廷に移ってからはなかなか展開が面白くなる。それぞれの独白も羅生門のようだ。

2019/12/13

あも

西川さんの小説から受ける怖さって何だろうと思っていたが、やっと分かった。共感ではなく共振。田舎町の渓谷にかかる一本の吊り橋を象徴に、ゆれる人々の独白を繋いでいく。都会で成功した弟と、田舎に縛られた兄。父親、幼馴染みの女性。強く見える人間が常に強靭か。弱い人間は本当に弱いのか。人の心の奥深さと多面性をそっと抉り出すように差し出されて、微細に揺らぐそれに自身の心もゆらされる。現実の状況や表層の感情が重ならなくても、自分の中の狡さや臆病さを見つめさせられる。だから彼女の紡ぐ物語はこんなに怖くて、少しだけ優しい。

2018/06/17

菜穂子

読んでいて苦しくなってくるのは、田舎の生活の閉塞感。代々続く家を継ぐとは。親兄弟の呪縛…などなどをじわじわと肌で感じてきたからなのかもしれない。納得して自分らしい生き方を求めたり、乗り越えたつもりでも、一生の中でいつか暴発する日がくるかもしれないのだから。兄弟の確執を認めた父の世代、今目の前に突きつけられた子の世代。憎しみも愛情も、拗れつつも繋がっていることを確かに感じた時に初めてお互いを認めあえるのだろう。

2019/08/06

Anemone

なんて余韻ある物語だろう。温厚な兄と向こうっ気の強い弟の関係が、ある女性の死をきっかけにゆらりゆらりと揺らぎはじめて――。余韻に浸りながら自分だけの物語が紡げるような、兄・稔としての香川照之のあとがきも良かった。

2018/02/09

たらお

再読。人のアンタッチャブルな仄暗さをあざとさなく表にさらす。こういう文章は、きっと意識の底深くまで潜って探り当てるだろうから相当気力も必要だろうし、ぴったりな表現を当てにいくこともきっと何度も読み直し書いたのであろうと思う。何よりも人の怖さを感じるときは、表を見て信じていたものの裏側が全く異なっているものだと知ったとき。羅生門形式のプロットは、事件に関わる兄弟の表と裏が痛いぐらいに描かれる。女性なのに隠れた男の妬みについて何故ここまで書けるのか?そして、映画での香川照之の引きつけられる演技を思い出す。

2020/09/24

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