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食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1)

食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1)

食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1)

作家
小川糸
出版社
ポプラ社
発売日
2010-01-05
ISBN
9784591115015
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「一度からまった糸って、なかなかほどけないものね…」母×娘の確執物語

『食堂かたつむり(ポプラ文庫)』(小川 糸/ポプラ社)

 親子の形は、一体どこで歪みが生じてしまうのだろう。親子が理解し合うことの難しさを巧みに描いている『食堂かたつむり(ポプラ文庫)』(小川 糸/ポプラ社)はそんな想いを抱かせる。親子が理解し合うことの難しさを巧みに描いた作品だ。

 物語の主人公である倫子は、同棲していたインド人の恋人に家の物をほぼ持ち去られてしまい、故郷へ帰ることに。しかし、母親・ルリコとの確執を抱えていた倫子にとって、実家に戻るということは心苦しいものだった。倫子の実家は村の人たちから、“ルリコ御殿”と呼ばれている。愛人の所有地に建てられた母屋や母親が経営するスナック、物置小屋などは目立つところにだけお金がかけられた、はりぼての城だ。久しぶりにこうした光景を目の当たりにした倫子は嫌悪感を覚えるが、物置小屋を借りて、食堂を営むことを思い付く。そして、倫子は食を通して、村の人たちの温かさや命の大切さを実感していくのだ。

 本書のおもしろさは、ほっこりとした物語の裏に母親と娘の確執が隠されているところにある。

私はほとんどの人や生き物…

2018/5/15

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『あるかしら書店』とポプラ文庫がコラボ! ヨシタケシンスケ描き下ろしブックカバー16冊が勢ぞろい

 ポプラ文庫が10周年を記念して、ヨシタケシンスケの大ヒット絵本『あるかしら書店』とコラボした「あるかしら文庫フェア」を2018年4月から開催している。

 ブックフェアは全国の書店で展開され、『食堂かたつむり』や『あん』、『真夜中のパン屋さん』や『恋文の技術』など16冊がラインナップ。各書籍がヨシタケシンスケによる16種類の描きおろしカバーつきで登場した。

『食堂かたつむり』(小川糸/ポプラ社)

『食堂かたつむり』描きおろしカバー

『あん』(ドリアン助川/ポプラ社)

『あん』描きおろしカバー

 子どもに大人、女子学生や宇宙人、ロボットから猫、果ては妖怪や地底人まで…。カバーにはさまざまなキャラクターが描かれている。書店店頭でのフェアは期間限定となり、対象商品がなくなり次第終了になるので要注意。

『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』(大沼紀子/ポプラ社)

『真夜中のパン屋さん 午前0時のレシピ』描きおろしカバー

『恋文の技術』(森見登美彦/ポプラ社)

『恋文の技術』描きおろしカバー

 イベント開催中の書店では、可愛らしいブックカバーに包まれた本が勢ぞ…

2018/4/20

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食堂かたつむり (ポプラ文庫 お 5-1) / 感想・レビュー

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ちょこまーぶる

読みやすい本だった。主人公と母親の関係が良好だったらこの話は成り立たない。良好ではない関係だからこそ料理に没頭し、その料理によって母親との距離を近づけていくことができた様に思える。そして、母親の生きざまが解き明かされていくにしたがい、母親の生きること・子どもへの哲学さえも感じ取れて圧倒されてしまった。で、主人公への遺言状ともとれる母親の手紙の文面は感動的で、電車内で涙腺が緩んでしまいそうだった。

2012/07/24

zero1

我々は、命を食べて生きる。食べることの意味を表現した作品。財産とともに消えたインド人の彼氏。倫子は田舎に帰って1日1組だけの食堂を開く。確執の母と豚のエルメス。そして終盤の展開。この作品を「くだらない」と見るか、それとも「読む価値あり」とするか。読者が試されている。番外編「チョコムーン」も収録。映画にもなった「かもめ食堂」や漫画「深夜食堂」など、食堂にはドラマがある。食べる際は命を忘れず「いただきます」と言おう。何度でも再読しよう。

2019/06/26

『食堂かたつむり』と短編『チョコムーン』。失恋し地元に帰省し声がでなくなった倫子が1日1組限定で料理を振る舞う食堂かたつむり、丁寧に気持ちを込めて料理を作ってくれるあんな食堂があったら絶対に行きたい。倫子が作るメニューはどれも美味しそうでした。エルメスのシーンやおかんのシーンが悲しかったです。お母さんに感謝して、言える時にちゃんと伝えたいことは言った方が良いし、我々の命には多くの生き物たちの命が関わっていることも思い知らされました。チョコムーンの主役は食堂かたつむりお客さんとして登場したカップル。

2019/05/11

ウッディ

2人で小さなレストランを持つという夢とともに全てを持ち逃げされた倫子は、故郷に戻り、1日1組だけの客に料理を振る舞う食堂かたつむりの開店にこぎつける。地元の食材を慈しみ、十分に手を加えた料理は、それを食べた人に奇跡をもたらす。現実はこんなに全てがうまく運ぶはずはないと思いながらも、この優しく温かい物語に身を委ねている感じが心地良く、いつまでも読んでいたいお話でした。一つ一つのことに愛情を注ぎ、丁寧に生きる事の素晴らしさを知るとともに、幸せに生きるために必要な物って、多くないのでは思わせてくれました。

2019/06/30

青乃108号

俺は食べる事にあまり興味がない。死なない程度に最低限のものは食べるけど、食事を楽しいと思った事は今までほとんど無い。でも、食事って大事なんだな。楽しいんだな。もっと食べる事、大事に考えようかな。そんな気持ちにさせてくれる暖かい本。うちに倫子ちゃんはいないけど、暖かいご飯を作ってくれる奥さんはちゃんといる。もっとちゃんと味わって食べよう。そしてもっとちゃんとご馳走様、って言おう。そんな気持ちにさせてくれる優しい本。

2023/04/28

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