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(044)汝 (百年文庫)

(044)汝 (百年文庫)

(044)汝 (百年文庫)

作家
吉屋信子
山本有三
石川達三
出版社
ポプラ社
発売日
2010-10-13
ISBN
9784591119266
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(044)汝 (百年文庫) / 感想・レビュー

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新地学@児童書病発動中

「我」と「汝」をテーマにした3つの短編を収録。石川達三の「自由詩人」が面白かった。人の心に食い入る詩を書きながら、生活は破綻している山名の哀しい一生。若いうちは天衣無縫の詩人としてそれなりに魅力を感じる山名が生活に追われて、落ちぶれていく姿は痛々しく感じた。作者は戦中や戦後の庶民の生活をさりげなく物語の背景に描いており、そんなところに社会派作家としての視点の確かさを感じた。山名の最期は無残なもので、読み手の心に突き刺さる。作中の架空の詩は見事なもので、作者が詩的な感性を持っていたことを実感できた。

2014/11/09

神太郎

テーマに対しての作品のチョイスがミスマッチな感じも否めない百年文庫あるあるを感じながら。吉屋信子の作品はややホラー調。しかし、一番テーマに沿った内容かもしれぬ。山本有三の作品は就活生とかが読んだらどう思うだろうか。タイトルは「チョコレート」だが、甘いだけでなく少しほろ苦い。石川達三の「自由詩人」はまぁ、どうしようもない男とそいつをなかなか見捨てることができない私との関係性を描く。男の最期はそうなって当然とも思えるがどこか悲哀がある。テーマにそってないものもあるが、作品一つ一つのクオリティは抜群であった。

2017/12/13

coco.

吉屋信子『もう一人の私』少女小説風怪奇譚。生後、間も無く亡くなった双子の姉と生き残った妹。山本有三『チョコレート』何時の世も就職活動に喘ぐ青年の悩みは同じだと思える滑稽話。石川達三『自由詩人』初読作家だったが、三篇中一番の秀作。頁数も他二編より多く、読み応え抜群。太宰治にも通じる退廃感。私は終始、聖書の一節でしか滅多に見かけないような「汝」とは、どういう意味なのか考えながら読んだが、何れも汝に該当する人は、仲が良い関係とは程遠い。それでも影響力は強い存在だ。汝とは即ち《貴方がいるからこその私》とも思う。

2015/08/10

マッキー

石川達三の「自由詩人」、共依存で憎くても憎めない山名の描写がよかったし、久しぶりに純文学っぽい純文学を読んだ気持ちになった。

2016/08/29

kaze

★★★ 「もう一人の私」。選ばれることのなかった「不幸な私」というもう一つの人生(と表裏一体となった現実の幸せな人生)という少女の永遠の憧れのシチュエーション。「チョコレート」。恭一の間違った自己犠牲と自己満足が鮮やかにしっぺ返しを食らわせる瞬間に、彼の目に入ったものが甘いチョコレートの看板。結局、恭一は働きたくなかっただけで、土肥のためという大義名分にかこつけて社会から逃げたのだ。「自由詩人」。自由詩人の行く末は自殺しかないのか。私が山名を見捨てられなかったのは、彼の中に自分のエスを見ていたからか。

2014/02/27

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