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壁 (百年文庫 76)

壁 (百年文庫 76)

壁 (百年文庫 76)

作家
カミュ
阿部公房
サヴィニオ
出版社
ポプラ社
発売日
2015-01-02
ISBN
9784591121641
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壁 (百年文庫 76) / 感想・レビュー

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まさむ♪ね

全部良かった。画家の半生を静かにたんたんと語るカミュの『ヨナ』は、冷たいけれどあたたかいなにか不思議な余韻を残していった。こちらも画家のアルゴン君が主人公で描いたものが実体化する『魔法のチョーク』は寓意に満ちた不思議世界。さすが安部公房、巧いなあ。そして、一番印象に残った『「人生」という名の家』は頭の中を掻き混ぜられるような、時間の渦に引きずり込まれるような・・・とにかく好き。作者のサヴィニオは画家ジョルジョ・デ・キリコの弟。

2015/07/14

雪月花

カミュと阿部公房の短編が入っていると知り、手に取った。どの短編もシュールレアリスムを感じさせる。そして3つの短編の主人公たちに通じるのは「孤独」のような気がした。自分の星を信じ、幸福は続くと信じ、自分が絵を描けるように尽くしてくれる妻もいるのに、屋根裏に閉じこもってしまうヨナ。solitaireかsolidaireかという最後の一文にカミュのwitを感じた。阿部公房の魔法のチョークもおとぎ話のようでいて欲望が描かれるシュール感がいい。サヴィニオの短編で不思議な家に迷い込んだ主人公の見る世界は妄想なのか?

2023/08/30

モモ

カミュ『ヨナ』ヨナは自分たちの離婚で受ける心の傷を心配した両親に丁重に育てられる。画家となり家族を持つも、家にはいつもヨナを慕う他人がたくさんいる…。絵が売れなくなり、ヨナは屋根裏部屋に閉じこもる。他人が滞在しすぎ。安倍公房『魔法のチョーク』面白い。壁に描いた食べ物が実際に食べられたり、幻の人まで現れて、ついに…。短いながら安倍公房の面白さが伝わる。サヴィニオ『「人生」という名の家』母のもとを去り、足を踏み入れた不思議な館。人の気配があるのに人がいない。思い出をたどるように進んだ先にある恐怖。幻想の一冊。

2023/03/03

臨床心理士 いるかくん

3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。3篇とも多様な解釈が可能な作品。個人的には安部公房の「魔法のチョーク」が好み。

2014/12/10

神太郎

奇しくもコロナで注目を集めたカミュ。彼の短編『ヨナ』を皮切りに安部公房、サヴィニオと続く百年文庫76『壁』。登場人物らは何かしらの壁にぶち当たる。それは、旬を過ぎた頃に訪れる「スランプ」、「才能が枯れる」というものであったり、大成しない現状であったり、そも「人生」という大きな壁であったりするわけである。テーマからも解離しておらず、今回はまとまっていて良かった。『魔法のチョーク』はオチがgoodです。親から「オススメ」された短編だったのですが正にでした。サヴィニオもなんかラストがちょっとゾクッとして良い!

2021/02/20

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