KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

泪 (百年文庫 92)

泪 (百年文庫 92)

泪 (百年文庫 92)

作家
深沢七郎
島尾ミホ
色川武大
出版社
ポプラ社
発売日
2015-01-02
ISBN
9784591121801
amazonで購入する

泪 (百年文庫 92) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

新地学@児童書病発動中

思わずほろりとする三つの短編。別々に読んでも心を打たれたと思うが、三つ続けて読んだので各々作品が持つ余韻が深まった。深沢七郎の「おくま嘘歌」は無名のままに地を這うように生きた母の肖像を、印象深く描く短編。島尾ミホの「洗骨」は奄美地方に伝わるめずらしい習慣が書かれている。改葬を行い、その時に埋葬をされていた遺骨を水で洗うのだ。詩的で硬質の文体が心に残った。人の生のはかなさが身に沁みる。色川武大の「連笑」は作者と弟の絆を描く作品。無頼派の兄と生真面目な弟の対照が面白い。対照的な二人だが、深い絆で結ばれている。

2018/03/05

kinkin

1.深沢七郎「おくま嘘歌」2.島尾ミホ「洗骨」3.色川武「連笑」「おくま嘘歌」はおくまさんの質素で穏やかな暮らしぶり、そして死が穏やかに書かれていて読後感か心地よかった。「洗骨」という風趣があることは知っていたが具体的に書かれていたものは始めてだった。地方にはまだまだ土地独特の風習が残っっているのだろうな「連笑」兄と弟の絆がテーマなのだろうか。映画「麻雀放浪記」の主人公が重なってしまった。このシリーズ百年文庫には読んでみたい作家が多く納められているのでもっと読んでみたい。この本のベストは「おくま嘘歌」

2022/11/21

モモ

深沢七郎『おくま嘘歌』控えめなおくま。息子夫婦と孫たちと暮らし、たまに娘と孫に会いに行く日々。幸せなのだろう。島尾ミホ『洗骨』奄美黄島生まれの島尾ミホ。そこの伝統行事なのだろうか。子孫が先祖の骨をきれいな川で洗う儀式。夫・敏夫の不倫が発覚。精神のバランスを崩して入院。その後、病気療養のため奄美黄島へ移住する実話が『死の棘』になったとは。色川武大『連笑』幼い頃から浅草に連れまわしていた6歳下の弟。同じ両親をもち、家庭の匂いの記憶を持つ者同士の不思議な絆。身内の者同士の争いのない、穏やかな話の一冊でした。

2022/10/22

臨床心理士 いるかくん

3人の作家の3篇の作品から成るアンソロジー。途切れない絆。

2015/02/08

TSUBASA

辛くても疲れてても我慢するおくま婆さんの優しい嘘、深沢七郎『おくま嘘歌』。南の島に根付く死者への弔いの風習、島尾ミホ『洗骨』。正反対の性格ながら、ぎくしゃくした家族の中で互いを理解し合っていた私と弟。大人になって久方ぶりに顔を合わせ昔を懐かしむ、色川武大『連笑』収録。『おくま嘘歌』がじんわりきた。『楢山節考』で描かれた婆さんのように、深沢氏のニヒリズムがおくま婆さんにも表れているようにも見える。他の作品では、島尾ミホの『洗骨』も生者と死者の別なく踊り明かす光景が独特で興味深かった。

2016/10/28

感想・レビューをもっと見る