KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫 お 8-1)

([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫 お 8-1)

([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫 お 8-1)

作家
小川洋子
樋上 公実子
出版社
ポプラ社
発売日
2012-04-05
ISBN
9784591129159
amazonで購入する

([お]8-1)おとぎ話の忘れ物 (ポプラ文庫 お 8-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

小川洋子のおとぎ話と樋上公美子の絵によるコラボレーション。この本の成り立ちは、絵が先にあって、それに小川洋子が文章を付けたものであるようだ。そのせいばかりではないが、ここでは明らかに絵が主役だ。樋上公美子の絵は、いずれもエロティックで色鮮やかな画面に、ほんの少しシュルレアリスムのタッチをきかせたもの。小川洋子のおとぎ話は残念ながら、いつもの何かわからないような恐怖感がない。最後の白鳥の物語は出典が不明だが、他は「赤ずきん」などの、いずれもよく知られた童話。どうやら彼女の本領は翻案では発揮されないようだ。

2013/02/27

風眠

グロテスクで、美しくて、残酷で、どこか甘い。小川洋子が織りなすおとぎ話と、樋上公実子が描く少女は、どこか蠱惑的で、ほんのり危険な香りがする。ほんの少し後ろめたいような、けれど踏み込んでしまうような。杏、蜂蜜、白バラ、珊瑚、たてがみ、羊水・・・あらゆる味を詰め込んだスワンキャンディー。ひとつ口に入れて、忘れ物のおとぎ話の世界へ。狂乱、悲劇、恋、復讐、愛、そしてその末路。じんじんと毒が効いてくるような、残酷で可憐な物語たち。赤ずきん、アリス、人魚姫、そしてスワンキャンディーに戻るラスト。涙色のリボンが切ない。

2018/02/13

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

毛皮のコートに赤ずきん。コートの下は一糸まとわぬヌード。少女なのか大人なのか見極めが難しい女性像……多分両方なのでしょう。捧げ持つのは狼の首。凄惨な物語の予感。樋上公美子さんの絵をモチーフに小川洋子さんが描いたおとぎ話の世界は可憐で妖艶、やさしくて残酷、清純で官能的。異なる要素が絶妙に混じりあった大人の童話でした。静かな狂気が漂う『ずきん倶楽部』、神経症的な少女のモノローグで綴られる『アリスという名前』、人魚姫への一途な思いを遂げる『人魚宝石職人の一生』、愛とは与えること『愛されすぎた白鳥』の4篇を収録。

2014/12/16

りゅう☆

小川糸さんと勘違い(^^;)ほのぼの系かと思いきや、残酷さとグロさに衝撃を受けた。忘れ物図書室でおとぎ話の忘れ物を読む。『ずきん倶楽部』会長が被った赤ずきんは血に染まって胃液のにおいがする。だって赤ずきんは狼に食べられたから。『アリスという名前』=蟻巣。蟻が巣を作る様は鳥肌モン。人魚姫を慕ってた『人形宝石職人の一生』は復讐と受け止めていいよね。スワンキャンディー<湖の雫>の由来の『愛されすぎた白鳥』ってなんともマヌケ…。樋上さんの絵ってここまでおっぱいの露出は必要?でもだからこそ強烈な印象を受けたけどね。

2018/11/12

ユメ

ひっそり佇むキャンディー店の奥にある[忘れ物図書室]。そこには忘れ去られたおとぎ話が保管されていて、美しいスワン型の容器に入ったキャンディーを味わいながら読書できるという。魅力的なモチーフに恍惚としながら椅子に座り、いそいそとキャンディーを選ぶ。そして本を開くと、可愛らしいおとぎ話が…と思ったら大間違い。凄まじい狂気。正直なところ、グロテスクは苦手だ。しかし、この本には「残酷さは美しい」と否が応でも納得させられる吸引力がある。読み終える頃には、舌の上で甘美に転がっていたキャンディーが、鉛玉へ変わっていた。

2015/02/27

感想・レビューをもっと見る