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「百貨の魔法」のおすすめレビュー
「コンビニたそがれ堂」シリーズ第7弾!『百貨の魔法』番外編も収録! 優しい想いはめぐり、いつか誰かのもとへ届く
『コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙』(村山早紀/ポプラ社)
それならば、わたしはいままでひとりではなかったし、これからもひとりではないのだわ
――なんて美しい一文だろうと読み終えたときしみじみ思った。『コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙』(村山早紀/ポプラ社)、表題作「小鳥の手紙」のラストである。
風早駅前商店街の路地のはずれ、たそがれ時から夜明けまでの間だけひらく、不思議なコンビニ。優しい狐の神様と、化け猫の看板娘が働くその店には、誰もが辿りつけるわけではないけれど、ひとたび店に入れば、望んでいたものはなんでも手に入る。しかもすべて、お代は五円。強く切実な想いに導かれてたそがれ堂にさまよいこむ人々を描いた連作短編シリーズの、本作7冊目だ。
「雪柳の咲くころに」は、いつも誰かのために動いてしまう、心優しき少年が主人公。夢を諦められない母親が、幼い彼を残して家を出ようとしたときも、「いかないで」の一言ではなく、母の背中を押す言葉を口にした。そんな彼の優しさがどんなに尊いか知ってくれている少女には、彼のほかに好きな人がいる。どんなに切ない思いをしても、優し…
2018/3/25
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「2018年本屋大賞」決定! 大賞は辻村深月『かがみの孤城』 10位まで発表!
全国の書店員が選ぶ、いま一番売りたい本を決める「本屋大賞 2018」の受賞作が決定した。
ノミネート作品10作品の中から大賞に選ばれたのは、辻村深月氏の『かがみの孤城』(ポプラ社)。 翻訳小説部門では『カラヴァル 深紅色の少女』(ステファニー・ガーバー:著、西本かおる:訳/キノブックス)が選ばれた。 ●2018年本屋大賞大賞受賞作 『かがみの孤城』(辻村深月/ポプラ社)
⇒辻村さんインタビューはこちら ⇒作品レビューを読む
●2位 『盤上の向日葵』(柚月裕子/中央公論新社)
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●3位 『屍人荘の殺人』(今村昌弘/東京創元社)
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2018/4/10
全文を読む「2018年本屋大賞」にノミネートされた『百貨の魔法』ディスプレイコンテストが書店員の間で大ブーム!
『百貨の魔法』(村山早紀/ポプラ社)
全国の書店員の間で、村山早紀のファンタジー小説『百貨の魔法』をディスプレイする「密かなるディスプレイコンテスト」が密かなブームを巻き起こしている。コンテストは「売り場から物語が始まるみたいで素敵」「POPにこんなに惹かれて買った小説は初めて!」と読者に大好評のようだ。
2017年10月に発売された『百貨の魔法』は、全国の書店員が選んだ一番売りたい本「2018年 本屋大賞」にノミネートされたことが発表されたばかり。同作の舞台は、時代の波に乗り切れず閉店を噂されている「星野百貨店」。館内には願いを叶えてくれるという白い猫が住んでおり、エレベーターガールや新人コンシェルジュ、宝飾品売り場のフロアマネージャーといった人々が、猫と一緒に百貨店を守るための奇跡を巻き起こしていく。小説は村山が2年の歳月をかけて書き上げた渾身の作品で、読んだ人からは「人の温かい願いや善意に溢れていて疲れた心が癒される」「登場人物が少しづつ繋がっていく展開にワクワクした」「こんな素敵な百貨店に私も行ってみたい」と絶賛の声が続々と寄せられてい…
2018/1/19
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百貨の魔法 / 感想・レビュー
starbro
昨年読んだ『桜風堂ものがたり』に続いて、村山早紀2作目です。本書は、マジックDSスピリチュアル・ファンタジーといった感じで、373P一気読みしました。2013年に銀座松坂屋が閉店した時点で、日本の百貨店業態は死にました。これからも閉店する店舗が増加すると思われます。私は昔から百貨店は好きだったので、大変残念ですが・・・魔法の白い子猫に出逢ってみたいにゃあ(=^・・^=)
2018/01/11
ウッディ
長く使い続けられる素敵な品物があり、少しお洒落してお出かけする、そんな一昔前の雰囲気ともてなしの心を維持し続ける星野百貨店には、ステンドグラスから抜け出した猫が願いを叶えてくれる、そんな伝説があった。「桜風堂ものがたり」と同じテイストで描かれた物語は、話が出来すぎの感はあるものの、童話のような雰囲気で、懐かしく、優しく、温かい気持ちになりました。子供の頃、親に連れられて行ったデパートの大食堂と屋上遊園地は、確かに特別な場所だった。こんな夢のような百貨店がないのはわかっていても、あるなら行ってみたい。
2018/01/12
どんふぁん
2020年3月8日読了。架空の百貨店が舞台の物語でした。雰囲気は昭和ですね。昔懐かしい感じがしました。心洗われる風景や人物も沢山出てきました。幸せな気持ちになりました。毒のない話ですね。1番素敵なのが出てくる従業員が皆、星野百貨店が風早の町が好きということ。そんなふうに思えて仕事出来たら、幸せですよね。
2020/03/08
さてさて
『ささやかな奇跡と魔法の物語』という風早の街の百貨店を舞台にしたこの作品では、『わたしたちは、幸せを売る、魔法使い』という熱い想いに支えられた百貨店で働く人々の真摯に自らの仕事と向き合う姿が描かれていました。『世の中には、不幸なことや悲しいことがあまりにも多すぎるので、物語の中だけでも、世界が平和で幸せになり、誰も泣かない時代が来ればいいなあ、と無意識のうちに願っている』という村山さんの描くファンタジーの世界。村山さん、いつもながらに幸せなひと時を、幸せな感情を、そして、幸せな涙をありがとうございました!
2021/06/12
菅原孝標女@ナイスありがとうございます
本屋大賞ノミネート作品。発表される前から図書館で予約していたものがようやく回ってきた。 『桜風堂~』の姉妹作ということでやはりというか、あたたかい。心がほわあっと、ふんわりあたたかくなる。そんな作品だった。リアリティは無いが、だからこそ良い。本に思いを懸ける書き手、読み手にも心に響くことばがたくさん散らばっており、それに気付かせてくれることこそ物語の良さであると思う。村山先生はそれをよく分かっているなあ。
2018/02/18
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