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i (ポプラ文庫 に 2-1)

i (ポプラ文庫 に 2-1)

i (ポプラ文庫 に 2-1)

作家
西加奈子
出版社
ポプラ社
発売日
2019-11-06
ISBN
9784591164457
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「i (ポプラ文庫 に 2-1)」のおすすめレビュー

刊行当時よりますます増している、“今”を描くビビッドさ――西加奈子の叫びが詰まった『i(アイ)』に揺さぶられる人多数!

※「第5回 レビュアー大賞」対象作品 『i』(西加奈子/ポプラ社)

「私自身、世界側の人間として、こうありたいということを、このタイミングで大声でめっちゃ叫んでみました」「ここに書いてあることは“今の世界”やから、ビビッドなうちに読んでもらえたらうれしいです」――これは、西加奈子さんが『i(アイ)』を刊行した際、又吉直樹さんとの対談で言っていたことだが、4年近く経過した2020年の今も、同書に描かれていることは変わらずビビッドであると思う。むしろ、訴えてくるものの強烈さは、増しているのではないだろうか。

 主人公は、ワイルド曽田アイ。アメリカ人の父と日本人の母をもつ、シリア生まれの養子。苦境に生きるシリアの子どもたちのなかでなぜ自分だけが選ばれてしまったのか。世界中で、毎日、多くの事故や事件で人々が尊い命を落としているなかで、なぜ自分は生き残り続けているのか。繊細で聡明であるがゆえにアイは傷つき、悩み続けている。

〈自分のアイデンティティーについて改めて考えさせられた。と同時に、今、コロナウィルスの感染が広がり多くの人がなくなっている中で、自分が生きて…

2020/9/21

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『木曜日にはココアを』をレビューしたくるぽんさんが王者に! 【読書メーター×ダ・ヴィンチ「第5回 レビュアー大賞」】

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2020/12/16

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ベストレビュアーを決めるのはあなた! ユーザーの熱いレビューが大集合の読書メーター×ダ・ヴィンチ「第5回 レビュアー大賞」第2次審査投票が開始

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 課題図書を読んだ人も、まだ読んでいないという人も、優秀レビュアーの素晴らしいレビューを読み「これは!」と思うレビューに投票してみましょう。投票期間は2020年12月6日(日)まで!

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2020/11/23

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i (ポプラ文庫 に 2-1) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

鉄之助

「この世界にアイは存在しません。」本文中にいったい何回繰り返されているか? 思わず数えてしまった。何と23回! アイは主人公の名前であり、Iであり愛。読了後も、ずっと私の頭の中でこだましている。「自分が恵まれているいることを恥ずかしいと思う」アイが、親友ミナ(ALLの隠喩)や夫ユウ(YOU)と出合うことで自分らしさを発見、成長する物語。ミナは言う。「(恵まれていることを恥じる)その気持ちは大切だと思う。何かと繫がる気持ちだから」。相手を思いやる想像力、いま最も求められているテーマが、そこにはあった。

2020/10/01

bunmei

「この世にアイは存在しない」の言葉の洗礼を受け、自分だけが幸せに生きることへの枷となり、蟠りを持ち続けてきたアイ。西さんは、今でこそ大阪弁でまくしたてる人気作家ですが、イラン生まれのエジプト育ちの幼少期に、見聞きしてきた現実が、こうした主人公・アイを生み出した原動力になっているのでしょうね。また、男性からはなかなか分かりにくい、女性特有の繊細な心のヒダや葛藤を、残酷にも且つ優しく描いていると思います。又吉さんとの対談にもあった、ラストシーンに繰り返される文章表現が、自分もとても印象深く残りました。

2019/12/03

あきら

口に出る少し手前の言葉を、とても巧みに言語化されてると感じた。 色々な立場や置かれている環境で、考え方も変わる。 恵まれていることが恵まれていない、ということも確かにあるのだろうなあ。

2022/05/02

hit4papa

アメリカ人と日本人の夫婦の養子として育ったシリア人女子の物語です。裕福な両親に愛されてきた主役アイ。アイは、自身の幸運に罪悪感を抱き、世界の人々の不幸な死を記録し続けざるを得ません。頭脳明晰であり、何不自由がない故に、かえって不自由を感じる多感な日々がつづられます。自身の輪郭を見失い、確かなものに憧れ続けるアイに共感してしまいました。アイは、i (アイ)=虚数の存在を認める数学に没頭します。タイトルの意味を含めて奥が深いですね。ラストの失速気味ですが、仲違いした最愛の親友とのひと時は、ちょっとホロリ。

2022/05/31

33 kouch

没個性がよしとされてるこの社会で、むしろ今度は個性を持ちたがる…そんな平和の極みの現代でぬくぬく生きてきた自分には羨ましくも映る。「この世界にはi存在しません」…一見恵まれていると思える人にも呪いのように取り憑かれた悩みがある。「自分の想像力には限界がある、それはたしかだ。でも…その努力を放棄するのは間違っている」世界中で不幸で死ぬ人々を想像して、それが何故自分でないか考える主人公。「人を思いやる」という真の意味を知れたような気がする。西加奈子さんの本は初めて。もっと他の作品も読んでみたい。

2023/07/03

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