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流れる星をつかまえに (一般書)

流れる星をつかまえに (一般書)

流れる星をつかまえに (一般書)

作家
吉川トリコ
出版社
ポプラ社
発売日
2022-08-10
ISBN
9784591174111
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「流れる星をつかまえに (一般書)」のおすすめレビュー

たやすく相手を判断し、傷つけ傷つけられる私たちの処方箋。レッテルに苦しむ人たちを描く『流れる星をつかまえに』

『流れる星をつかまえに』(吉川トリコ/ポプラ社)

〈「物語」というものは他者の人生を垣間見ることで想像力の幅を広げ、すぐ近くの隣人を慮るための訓練のようだと思う。〉というのは、『流れる星をつかまえに』(ポプラ社)刊行にあたって著者の吉川トリコさんが寄せたコメントの一部。他者というのは、自分とはかけ離れた場所にいる、知らない誰かのことだけではない。その人の全部、とまでは言わずとも、だいたいどういう人だかわかっている、とたやすく思い込めるくらいすぐそばにいる存在のことも、私たちは意外とちゃんとは知らない。そして知らなかったからといって、やっぱりたやすく相手を傷つけてしまう。

 たとえば第一話「ママはダンシング・クイーン」は、高校生の娘をもつなつみが、ママ友と一緒にチアダンスを始める物語。アメリカの学園映画が大好きな彼女は「日本にプロムがなくてほんとよかった!」と心底安堵するくらい地味なタイプで、座右の銘は映画『アイス・プリンセス』の「女はいくつになってもプロムクイーンが憎いのよ!」というセリフ。でも、同じ四十代と思えない美しさを放つプロムクイーンのような…

2022/9/1

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流れる星をつかまえに (一般書) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

みかん🍊

馴染みある名古屋が舞台の連作短編集面白かった、地味なおばさんがドラゴンズのママチアになる「ママはダンシング・クイーン」メンバーやその子どもたちの高校の教師の国籍問題、LGBT、養子縁組とままならない日常を描いてはいる、最後の「プロムへようこそ」は卒業を控えた高校生たちが進学校で自由で平等なプロムを最後の思い出に開催したいと翻弄する、まさにザ青春、流れ星の様に目の前を流れていくものの中から自分の好きな事は自分からつかまえに行って自分も輝かなくては、やりたい事をやっちまおうと前向きな作品

2022/11/15

そら

母親たちはママさんチアに、子供たちは卒業式後のプロム開催へ、青春を取り戻す、または謳歌するために奮闘する生きる勢いに溢れた連結短編集。在日韓国人の姉妹や、ほんのりゲイに目覚める男子高校生などの要素も盛り込まれ、アメリカ・韓国映画やダンスミュージックのタイトルもわんさか登場。目まぐるしく怒涛のように展開していくが、読み流しの軽い読書にちょうど良いと思って気軽に読んだが、ラストのプロムへの熱量には着いていけず。映画や読書も「その時の自分の年齢やコンディションによって受け取りかたが変わる」ことには大きく共感!

2022/09/30

やも

子世代の青春×母たちの青春?青春やりなおしてんの、と母世代が言うように、いつだって心には思春期の自分がいるのかも。途中までは面白かったんだけど、最終話のノリに乗れなかったなー。そんなプロ厶プロムって…全員が楽しめるイベントなんてもんはないと思うんだよな。別にイベントなんか無くてもいいし。それなりに健康で、好きな人たちと笑って話す時間があって、美味しいご飯が食べられて、布団で寝られる。私はもうそれで十分、プロムはいらん。一生忘れられない事って思春期にもあるけど、もっと普遍的な大事なことってあると思う。

2023/02/25

chimako

名古屋に住むおばさんたちが「チアドラママ」に応募する。そのおばさんたちの家族のあれやこれやの連作集。名古屋弁飛び交う会話は声に出して読んでしまう(笑)一話目の主人公なっち。おばさんを自称する正真正銘のおばさんだが青春を取り戻すべくチアに挑戦する。仲間の夕子さんの息子やデラさんの孫、なっちの娘 葉月の通う高校の先生、そして、葉月やその友達美鈴(母親はみやっち)の物語が何だとても賑やかに展開していく。自分のセクシャルに気付き悩み、出自を教えられ嫌悪しやがて受け入れる。狭い世間でそれぞれが抱える宇宙は広い。

2022/12/01

ででんでん

ほんとうに、いろいろあるけど、それぞれの場所から、ジャンプしてみようよ。そうしたら、ズデンと落っこちて、痛い思いをするかもしれないけれど、もしかしたら流れる星をつかまえられるかもしれないよ。そんなメッセージをもらえた。そして、トリコさんのメッセージの手渡し方が、ひとつひとつ心にしみ込む作品だった。老若男女いろんな立場で、みんな、もがいている。

2022/10/24

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