短編回廊 アートから生まれた17の物語
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短編回廊 アートから生まれた17の物語 / 感想・レビュー
starbro
7月の第一作は、名だたる外国人作家17人による文豪ギャラリー短編集です。17人の内、既読は3人のみでした。 オススメは、「美しい日々」ジョイス・キャロル・オーツ& 「真実は井戸よりいでて人類を恥じ入らせる」トマス・プラック&「ビッグタウン」サラ・ワインマンです。 https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/13817
2021/07/01
KAZOO
前作が一人の絵画作家の作品を中心としたものでしたが、今回はそれぞれ異なった作品を中心に話が進んでいくものが多い気がしました。それなりの高名な作家のアンソロジーなのですがページ数が限られているせいかものたりなさが残りました。前作の方が印象に残った感じでした。
2021/10/19
藤月はな(灯れ松明の火)
前回はエドワード・ホッパー作品中心でしたが、今回は壁画、彫刻なども含めた作品を基に作家が物語を紡ぐ。傾向としては芸術家の半生にクローズアップした作品、多し。「安全のためのルール」は陪審員裁判での公平性をどう維持するかが描かれる。一方で自分の心を一生、縛るきっかけになった事件と似た裁判に挑もうとする女性の心の揺れが痛々しい。「扇を持つ娘」はゴーギャンに扇をあげた大家の娘(ヴァネッサ)、ゲシュタポから芸術を守ろうとするユベール、そして扇を持つモデルの女性の物語が交差する構成だ。収まる所に収まったラストに安堵。
2021/10/19
ずっきん
『短編画廊』に続く絵画に触発されたアンソロジー第二弾。ローレンス・ブロックはなんと書けなかったらしく既出の『ダヴィデを探して』 今回は絵や画家そのものを題材にしたものが多かったように思う。個人的には北斎からの『ビッグウェーブ』がダントツに好み。『アンプルダン』の不穏な叙情と余韻。両作品とも幕引きに、ああ、と声を漏らす。『オレンジは苦悩,ブルーは狂気』も三十年も前の既出作品ながら素晴らしい。全体的なトーンは前作の方が好きだけれど、どれもこれもズシッと腹にくる読みごたえ。日に一、二篇ずつしか読めなかったほど。
2021/09/09
kaoru
絵をモチーフにした17つの推理短編。錚々たる書き手ばかり。D.マレルの『オレンジは苦悩、ブルーは狂気』はゴッホがモデルと思しき画家の絵が人々を狂わせて行くさまを綴る。J.C.オーツの『美しい日々』は理想の少女を描いたバルチュスの芸術に対する女性からの異議申し立てとも呼ぶべき怖い作品。『扇を持つ娘』はタヒチを訪れたゴーギャンの絵に描かれた現地の娘の追想。絵がもたらすインスピレーションから紡がれた物語ばかりだが、鋭い眼差しに時にはっとさせられる。L.ブロックの『ダヴィデを探して』は私にはいささか強烈過ぎた。
2023/06/18
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