マルセル
マルセル / 感想・レビュー
優希
面白かったです。亡き父が追っていた消えたマルセルの謎に導かれるように彷徨う千晶。未解決事件から出会う真実にはただ呆然とさせられました。闇の中を探るような世界観が美しく、引き込まれずにはいられません。長い分、中だるみ感があるのは否めませんが、それでも読ませる力のある作品だと思います。
2018/04/05
ゆのん
【kindle】1968年、京都国立近代美術館で開催された『ロートレック展』にてフランスより借りて展示していた『マルセル』が盗まれるという実際の事件を題材にしたフィクション。盗まれた絵は時効成立後に無傷で戻ってきたが犯人は不明のまま。京都とフランスを舞台に盗難事件と自身のルーツを探る主人公。謎が謎を呼びスリリングで面白かった。個人的には大好きな京都弁男子の登場が密かな楽しみというオマケ付きなのも良かった。357
2019/11/20
hiro
昨年一年間、毎日新聞朝刊に連載された作品。1968年に実際起こった『マルセル盗難事件』をモチーフにした芥川賞作家髙樹さん初めてのミステリー作品。実は『ミレニアム』と並行して読んだため、大変面白い作品ではあったが、『ミレニアム』に比べると、ミステリーとしてのハラハラドキドキ感は少なめだった。それは、主人公の女性新聞記者千晶が、同じ新聞記者で亡くなった父親の残した取材ノートをもとに、新聞記者として未解決の事件を解決し、公にするのではなく、事件にかかわった両親のことを知りたいという千晶の動機のためかもしれない。
2012/07/28
ばう
★★★疲れました。やっと最後まで読めたという感じ。でもまずまず面白かったので星3つです。父親の死後見つかったノートに残されたマルセル盗難事件の謎。主人公の千晶は死んだはずの母親の謎にもぶつかり五里霧中の中、物語は闇の中を手探りで進んでいくようです。良く言えば丁寧な筆致で書かれている、でもせっかちな私は時々ストーリーの進み具合がまどろっこしく感じてしまいました。ずっとモヤモヤとした気分のまま読み進めて最終章で漸く全てが明らかに。中々の大作だし、興味深い内容でしたがもう少しコンパクトだったら良かったかも。
2017/12/05
RIN
1968年に実際に起こって未解決のロートレック「マルセル」盗難事件をテーマに新聞記者・千晶がやはり新聞記者だった亡父の日記に導かれて真相を追い始める。「恋愛小説の名手が贈る絵画ミステリ」と帯にあり、体裁としては絵画ミステリながらやはりこれは恋愛小説というか人生の半ばに差し掛かった女性の自分探しの旅物語、という感じ。女性に限らず仕事に忙殺されていると、ふと非日常、非現実の世界に自分を投げ込みたくなる衝動に駆られることはあるかも。そうした魔が差し狭間に落ち込んだ後どう立て直すかという視点で読むと興味深かった。
2014/05/07
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- 光村図書出版
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- 2022-08-05
- ISBN
- 9784813804147