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ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで

ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで

ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで

作家
大和田俊之
磯部涼
吉田雅史
出版社
毎日新聞出版
発売日
2017-03-27
ISBN
9784620324418
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ジャンル

ラップは何を映しているのか――「日本語ラップ」から「トランプ後の世界」まで / 感想・レビュー

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しゅん

ラップミュージックの「今」を探る三つの鼎談録。ゲイカルチャーとの融和、ダンス志向などアメリカヒップホップの状況の多様化を示す言葉が面白いし、政治性ばかりを見るべきでないという態度にも筋が通っている。アメリカと日本で地域性の捉え方が違う(地域によりサウンドが規定されるかどうか)という指摘には膝を打った。それにしても、「アメリカの影」の呪縛の強さには驚く。敗戦によるねじれとはかくも強固なものなのか。

2017/08/01

Ecriture

ジェフ・チャン的な、公民権運動の連続性の中でのヒップホップ解釈に捉われず、脱政治的(そうであるがゆえに政治的でもあるのだが)音楽として、2010年代にトラップ音楽の内部でも内向化・記号化・幼児退行の進むヒップホップシーンを概観する一冊。カントリー対ヒップホップという対立の虚構性を指摘しつつ、商業性にのってバランスをとることでぬるりとした現状肯定に陥り、何を見聞きしてもエコーチェンバーを突き破る効力のない黒人文化の擬態状況を語る。

2018/03/28

かふ

ラップ・ミュージックの入門書ではあるがラップと政治や社会の影響について。良くも悪くもアメリカ文化の影響下にあって自分たちのアイデンティティとしてオリジナルティを出していく中で模索する日本語ラップなど。章の最初にその年の代表曲が出ているのでYouTubeで観れば文章だけでなく音楽で理解可能としているのは良い。馴染みない専門用語や数多くの未知のラッパーに最初は戸惑うが全体としての流れは理解できたような。

2018/10/08

Decoy

ラップは聴いていないのだが、評判がいいので読んでみた。確かに面白い! アメリカと日本のラップ・ミュージックの歴史と現在が、鼎談で分かりやすく語られている。固有名詞が多過ぎるが、そこは詳細な注釈を付けていて、抜かりない(が、この字の小ささは、老眼進行中の中年にはキツい…)。大和田俊之のあとがき「『文化』を通して私たちは『いま』を解釈し、認識するのであって、その逆ではない」が、印象に残った。

2017/04/12

もりっち

オバマ~トランプ政権の以降と連動してラップは健康的でハイなものから内向的で酩酊したものへ、突き詰めた先には幼児退行的な非政治性にまで行きつき始めているという話や、日本語ラップが今フリースタイルバトルで沸いているのはハードコア・ラップの流れで、この先シーンが盛況を保つかは「場」の生成やオーセンティシティの確保とのやりくり、ダンスミュージックへの回帰がポイントとなるといった話など、興味深かった。ラップには非常に疎かったため、表層的な読み解きとなってしまったかもしれないが、非常に勉強になったと感じている。

2017/10/08

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