超歌手
「超歌手」のおすすめレビュー
赤裸々な本音、生き様、心・魂の叫びがギッシリ詰まった、超歌手・大森靖子の言葉が熱い!
『超歌手』(大森靖子/毎日新聞出版)
夏といえば、音楽フェス。その良さは、なんといっても多彩な顔ぶれのライブが見られること。フジロックには2016年ノーベル文学賞のボブ・ディラン氏も来るが、個人的には、サザンオールスターズが登場する、ロッキンジャパン2018がやはり熱いかな、と感じている。
そんなロッキンジャパンで、筆者が会うことを楽しみにしているアーティストのひとりが、初めての単著『超歌手』(毎日新聞出版)を上梓した、超歌手の大森靖子(おおもりせいこ)氏である。
簡単にプロフィールを紹介しよう。1987年生まれ、愛媛県出身。高卒後に上京し、美大で学ぶ。19歳からインディーズ活動を始め、注目される。2014年にメジャー(エイベックス)契約。得意とする音楽スタイルは、「弾切れも気にせず畳み掛けるように言葉を撃ちまくるジェットコースターみたいな弾き語り」(公式ホームページより)。
個性あふれるメロディーラインや型にはまらないパフォーマンスに加え、弾丸となるストレートかつ、日常目線から生まれる歌詞の数々が共感を呼び、ファンを増やしている。
例えば、ほ…
2018/7/2
全文を読むおすすめレビューをもっと見る
超歌手 / 感想・レビュー
阿部義彦
既にCD6枚持ってます。超歌手大森靖子さんの初の書き下ろしエッセイ集です。「インスタグラムで見た綺麗な写真や、バズってた名言沢山見てきたはずなのに、あなたが何も覚えてないのはなんでだと思います?金払ってないからですよ。本物の芸術は金払わないと身にならない。」「娯楽のない人達が、兎に角暇を潰すエサというか、タダ飯を探してる。質は問わずただ食い繋げればいいというエサを、なんで私が身を削って差し出さねばならないのか。」ネットのせいで勘違いした全能感の化け物、人間。
2018/06/16
かす実
私の世界の常識、それでいてまだ誰にも晒せなかった部分、そんな思想がいっぱい詰まってて、「そうなの!それなの!!」と心の中で叫んでいました。だから他人事みたいな感想を書けない。私はひとりぼっちで、君もひとりぼっちで、絶対に完全にはわかりあえないし せいぜい肩を並べることしかできない。それって全然寂しいことじゃないんだよ。断絶を受け入れる。きみの孤独を侵すんじゃなくきみの孤独を護れるように。クズのまま光るんだよ、理想の自分になるの待てるほど人生長くない。
2018/06/22
ガイちゃん
彼女は、大多数の人が超えないようにしている自己防衛線とでも呼ぶべき自己と世界との境界線を、平気で13歩くらい踏み越えている。その分、余計な声が彼女を襲うが、そこに怯まない逞しさに我々はどうしようもなく惹かれてしまうのである。 本著を読み進めると、その彼女の強さがよく分かる。学生時代から自分の気持ちを文字に起こすことを怠っていない上に、美大卒で音楽表現者。これらの要素が混ざり合って紡がれる言葉は、彼女の強さだけでなく、マイノリティーに染み渡るように寄り添う優しさが含まれている。 ファンなら読んで損なし。
2018/06/12
不純
ファン歴5年くらいですが大森靖子さんは作る曲は変化するものの、芯がブレずに活動しているため激情的な生き方をしつつ、多様なファン層を獲得して成長し続けている。子持ちなのを驚く程の溢れたエネルギーとバイタリティ。このエッセイを読んで思うのは、大森靖子さん、地頭がめちゃくちゃいい。読みやすい上にうまく言語化できないもやもやをズバリと書き貫いていて、腑に落ちる。me tooのくだりとか、女性がロックをすることについて、とか力強さと堅い主義があってそこを貫いて生き方さえも作品として貫いている。かわいくてカッコイイ。
2018/11/09
あもすけ
大森さんのことを読みながら、ずっと自分にも問いかけていた。私はこう思う、あなたはどうなの?ということだけで、他の誰でもない、誰かの何かではない、ずっと一対一で、お互いのとても深いところまで晒し合う会話をすることで、だからこれを読みながら思ったこと全部を自分でちゃんと、思ったのだ、と捨てないことで、とてつもない価値のある体験ができる本だと思う。ネットじゃなくて本、というのはデジタルとアナログの違いとは別で、ネット上の息苦しさに気兼ねせず、ちゃんと自分を自分で生きたまま、言葉を交わしている感覚のことだった。
2018/06/09
感想・レビューをもっと見る